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第2869号 2010年3月1日


MEDICAL LIBRARY 書評・新刊案内


デジタルマンモグラフィ品質管理マニュアル

NPO法人 マンモグラフィ検診精度管理中央委員会 編

《評 者》石田 隆行(広島国際大教授・医用画像工学)

国際水準の品質管理を実践できるマニュアル

 乳癌の撲滅,検診の早期受診を啓蒙・推進することを目的とする世界規模キャンペーンのピンクリボン運動は年を追うごとに活発化し,広く国民に知られるところとなった。それに伴い,マンモグラフィ検診の受診率も年々増加している。このことは,全国各地で行われているマンモグラフィの品質管理の重要性を高めている。また,近年になってマンモグラフィのデジタル化が急速に進んだことから,これまでのアナログマンモグラフィの品質管理の方法を見直したデジタルマンモグラフィの品質管理マニュアルの必要性が高まった。

 わが国で,この必要性にいち早く応えたのが,日本でマンモグラフィ検診の精度管理の核となって活動を続けているNPO法人マンモグラフィ検診精度管理中央委員会(精中委)である。精中委が編集した本書は,International Electrotechnical Commission(IEC)がまとめた国際標準の精度管理法や欧米の精度管理のガイドライン,日本画像医療システム工業会の表示モニタの品質管理ガイドラインなど,世界中で採用されている国際的な精度管理の方法を参考にしながらまとめられており,国際水準の品質管理法が一読しただけで実践できるようにまとめられた優れた書籍といえる。

 本書は,「受入試験」「定期的な管理」「日常的な管理」の3章に分けられている。それぞれの章について,必要な項目の測定方法と判定基準とが,わかりやすい写真や図とともに簡潔に述べられており,実際に品質管理を行う上で非常に役立つ構成となっている。

 個々の品質管理法を読んでいくと,簡易的でありながら理にかなった方法が採用されていることがよくわかる。これは,デジタルマンモグラフィについて深い知識と経験を持つ,開発・臨床現場の専門家たちが積み重ねてきた研究や実践の中から生まれた極めて実用的な方法であることの証であろう。

 本書の方法に従って品質管理されたデジタルマンモグラフィを持つ施設で検診をすることによって,国際水準の質を持つデジタルマンモグラムが得られ,診断精度も高い水準で保たれることは間違いないと考えられる。したがって,本書は,乳癌の早期発見・早期治療のために国民が安心して検査できる環境を広げるのに役立つ有用な書籍であり,デジタルマンモグラフィを設置する施設必携の一冊であるといえる。

A4・頁100 定価2,940円(税5%込)医学書院
ISBN978-4-260-00974-4


運動負荷心電図 第2版
その方法と読み方

川久保 清 著

《評 者》井上 博(富山大大学院教授・内科学)

心臓リハビリテーションに携わるすべての医療従事者に

 畏友・川久保清君の運動負荷心電図のテキストが改訂された。著者は運動負荷心電図を専門とし,また一般市民を対象としたメディカルチェックにも長らく携わってきた。その経験を基にまとめられたものが本書である。

 初版は2000年6月に上梓された。当時,そして現在も,運動負荷心電図に関する教科書で本書ほど実践的な内容を備えたものを評者は知らない。単著であるため,内容・記述が統一されていて,遺漏がない。多くの読者を得たとみえ,増刷されること4回に及んでいる。初版は本文148ページのモノクロ印刷であったが,第2版では本文が163ページに増え2色印刷となった。初版で多くみられたSIDE MEMOの大部分が,第2版では本文として記載されており,2色化とあいまって読みやすくなった。初版より約10年が経過し,この間の進歩や新たなガイドライン,文献が追加されている。

 章立ては初版に倣い「運動負荷試験の方法」と「運動負荷心電図の読み方」という2部構成になっていて,“方法”の部は「運動負荷装置とプロトコール」「心電図・血圧記録法」「運動負荷心電図検査の適応と禁忌,負荷中止基準」「運動負荷試験時の循環・呼吸反応」「わが国における運動負荷試験の現状」から成る。“読み方”の部は「診断的試験の感度,特異度,Bayesの定理」「冠動脈狭窄の診断基準」「既知の冠動脈疾患における病態評価,重症度評価」「心筋梗塞後の患者」「無症候者の評価」「不整脈と運動負荷試験」「その他の適応における運動負荷試験の読み方」「コンピュータによる自動診断」から成っている。冠動脈疾患に関する項で最もページ数が増加している。

 評者は本書を特に次の関係者に推薦したい。当然であるが,循環器の診療に携わる医師である。現在は,冠動脈造影が簡単に行うことができ,CT装置も進歩して冠動脈に関する情報が比較的容易に手に入る。そのため,胸部症状がある患者さんはCTで冠動脈をみて,狭窄がなければ「狭心症ではありません」と説明する。あるいは極端な場合にはいきなり冠動脈造影を行うことすらある。心筋虚血発作の有無の評価は運動負荷心電図ではなく,核医学検査をまず行ってしまう。

 評者はこのような診断過程に疑問を持つ者である。安価な心電図や運動負荷試験から有意義な情報が引き出せるのに,より高価で,しかも視覚的に直感しやすい検査法に頼ってしまう。視覚に訴える検査法の意義(虚血範囲の定量的評価は運動負荷タリウムシンチが優れる)を否定するつもりはないが,もう少し(患者側の)費用対効果にも目を配った診断過程があるのではないかと思う。

 次に,運動負荷検査ばかりでなく心臓リハビリテーションにかかわる検査技師・看護師の方々である。初版への杉本恒明先生の書評(週刊医学界新聞第2403号)は,見出しを「運動負荷検査と心電図にかかわるすべての医療従事者に」とし,末尾近くで「運動負荷検査に携わる医師,臨床検査技師あるいは看護職の方々」に一読することを勧めている。

 当時もすでに心臓リハビリテーションが保険で認められていたが,現在ほど広く行われてはいなかった。現在,心臓リハビリテーションの施設認定を受けている医療機関は格段に増えている。初版が出た当時に比べ,心疾患のリハビリテーションに携わる医師・看護職員にとって本書の意義は一層大きくなったはずである。

 運動負荷試験に携わる医師,検査技師ばかりではなく心臓リハビリテーションに携わる関係者にとって,本書はバイブルといえよう。本書が多くの関係者の座右に置かれて,参考にされることを願うものである。

B5・頁184 定価5,250円(税5%込)医学書院
ISBN978-4-260-00873-0

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