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[第3回]除細動で迷わないために知っておきたいこと
現場で迷わない!心肺蘇生ガイド
連載 前田 徳也
2026.10.28
前回は胸骨圧迫について取り上げました。第3回ではBLSのもう一つの柱,除細動について解説します。『JRC蘇生ガイドライン2025』(以下,JRC2025)では除細動についてもさまざまなアップデートが追加されています。それでは,他のガイドラインとの比較も交えつつ,改訂ポイントを中心に掘り下げていきます。
どっちが有効? AED vs. 手動体外式除細動器
一般的にAEDと呼ばれる自動体外式除細動器のAは“Automated”の略ですが,何が自動化されているかわかりますか? そう,心電図解析です。機械が自動で心電図を解析し,ショック適応を見極めてくれるため,一般市民でも音声案内に従って使用できます。モニター心電図のない環境では医療者も便利に使えるでしょう。しかし,AEDは心電図解析を開始してから,ショックの可否の判断を経て,実際にショックを行うまで胸骨圧迫ができません。機種によって差はありますが,AEDのリズム解析による胸骨圧迫中断時間の中央値は約17秒という観察研究の結果もあります1)。
その点,手動体外式除細動器は充電中にも胸骨圧迫を継続できるため,AEDと比べて胸骨圧迫中断時間の削減が期待されます。もちろんこの効果は短時間での心電図判読が可能で,手動体外式除細動器の扱いに習熟したスタッフがいるという前提です。研修医の先生方は現場で経験を積んで流れを習得していきましょう。
読者の皆さんは心静止と判断する際にチェックすべき「3つの『ど』」を習ったでしょうか。心静止かもと思った際には,「リード」「かんど(感度)」「ゆうどう(誘導)」の3つを確認し,微細な心室細動(VF)や機器・電極のトラブルを心静止と誤認しないよう注意します。AEDにはこれらのチェック機構はないため,VFの患者を心静止と誤認してショックが行われない可能性があります。周囲の状況を総合的に判断して対応できるのも,まだまだ人間が機械を上回る大切な強みなのです。
除細動器パッドの「位置」を考える
除細動器のパッドはどこに貼れば良いでしょうか? JRC2025(50頁)には,「1枚目は右鎖骨下・胸骨上部,2枚目は左腋窩尾側・中腋窩線上」と記載されています(図1)。
多くの製品にはイラストで貼付位置が示されていますが,標準的な体型の患者でしか示されていないことには注意が必要です。例えば,高度な肥満患者や乳房の大きな女性では製品のイラストどおりに貼るだけでは適切な位置からずれる可能性があります。海外の文献ですが,「AEDの製品に掲載されている貼付図のイラストはばらつきが大きく,解剖学的に間違っているものが多い」という報告もあります2)。より確実にショックを行うため,パッド貼付の位置は言葉で説明できるようにしたほうが良いでしょう。
その他特殊な状況について,皮膚が濡れている場合は濡れた部分を拭き取ってから,ペースメーカー植込み後の患者ではペースメーカーの真上を避けるように,パッドを貼ってください。また,患者がネックレスをしている場合は外す必要は無く,通電する胸部にかからないようによけるだけで十分です3)。
難治性VF・pVTへの次の一手――DSEDとVC
JRC 2025の改訂の目玉として,3 回以上の電気ショック後も持続する難治性VF・脈なし心室頻拍(pVT)に対して二重連続体外式除細動(Double Sequential External Defibrillation:DSED)とベクトルチェンジ(VC)が登場したことが挙げられます(JRC2025,99頁)。
DSEDはその名の通り,2台の除細動器を用い,異なる2方向から短い間隔で連続して電気ショックを行う方法です(図2)。通常のパッドに加えてもう1台の除細動器を用意し,心臓を前後で挟むようにパッドを貼付して,1人の操作者が短い間隔で続けてショックボタンを押します。VCは最初に貼付したパッドを剥がし,DSEDと同様に心臓を前後に挟むように貼る方法です(図3)。
通常のCPRに反応のない難治性VF・pVTに遭遇した場合,さらなる治療選択肢として体外循環(VA-ECMO...
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前田 徳也(まえだ・なるや)氏 広島市立北部医療センター安佐市民病院救急科・集中治療部
2021年広島大医学部卒。JA広島総合病院,広島大病院で初期研修を修了。23年より福山市民病院救急科,25年よりJA尾道総合病院救急科で勤務。26年4月より現職。ERを中心に研修医の先生方と日々奮闘しています。
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