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『誰も教えてくれなかった皮膚科治療薬の選びかた・使いかた』より

連載 松田 光弘

2026.09.24

本書は好評を博した『誰も教えてくれなかった皮疹の診かた・考えかた』の待望の続編! 今回は皮膚科治療をテーマに皮疹の背景にある病態から治療薬選択のコツと使いかたを徹底解説した一冊です。外用薬だけでなく,経口薬・注射薬・ドレッシング材まで網羅。前作同様指導医と研修医の対話形式で,実際の症例をもとに学ぶことができます。

「医学界新聞プラス」では、本書から皮膚潰瘍治療薬に関する項目をピックアップし,4週にわたりご紹介します。

1_図1問題.png
図1(再掲) 乾燥した皮膚潰瘍
3 つの剤形の使いかた
1_icon01.png 皮膚潰瘍治療薬は,油脂性基剤,水溶性基剤,乳剤性基剤の3つに分けて考えたらいいんですね.
1_icon04.png そういうことだね.創面の水分量に応じて3つの剤形を使い分けるのが治療の原則なんだ.
1_icon01.png 成分が重要なんだと思っていました.
1_icon02.png 剤形が適切じゃなかったら,薬効成分が有効に働かないんだよ.


 それでは3つの剤形をどのように使い分ければよいのでしょうか.ここまで説明してきたように,3つの剤形はそれぞれ水分に対する作用が違います.そのため創面の水分量に応じて剤形を使い分けるのが,治療の原則になります.つまり,水分量が適切な場合や浅い傷では水分を保つ薬剤(油脂性基剤),創面の水分量が多いときは水分をよく吸収する薬剤(水溶性基剤),水分量が少ないときは水分を多く含んだ薬剤(乳剤性基剤)を使用するというイメージです(図2).

2_図2.png
図2 剤形選択のフローチャート

 それでは,実際の症例を見ながら考えてみましょう(図3).まずAは,浅い傷で水分量は適正と考えます.したがって,使用するのは油脂性基剤です.次にBは,滲出液が多く,水分が過剰と考えます.つまり,水溶性基剤の適応です.最後にCは,乾燥しており,水分が少ないようです.乳剤性基剤を使うのがよいでしょう.

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2_図3.png
図3 3 つの創傷

 ちなみに,個人的には水分量の目安として,ガーゼ交換が1日2回以上必要な場合を「多い」,1日1回程度でよい場合を「適正」,1日1回も必要ない場合を「少ない」と考えています.
 皮膚潰瘍治療に用いられる外用薬は約20種類もあって混乱しがちです.しかし,以下のように剤形に基づいて整理することで,わかりやすくなると思います(表1).

2_表1.png
表1 主な皮膚潰瘍治療薬の一覧表

 皮膚潰瘍治療薬には様々な薬効成分が配合されていますが,この原則に従っておけば,どの薬剤を選択しても大きな問題はないと思われます.逆に,水分量を適正化しなければ期待した効果は得られません.
 例えば,水溶性基剤のアクトシン®軟膏は創傷治を促進する薬剤です.しかし乾燥した創面に対して使用しても,十分な治癒促進効果は得られません.やはり薬効成分の前に,まず創部の水分の状態に応じた剤形の薬剤を選択するのが大切なわけですね.
 ちなみに,みなさんはトレチノイントコフェリル軟膏の基剤を見て,どう思われるでしょうか.乳剤性基剤はクリームと説明したはずですが,軟膏であるトレチノイントコフェリルが乳剤性基剤になっていることに疑問を持った人がいるかもしれません.実はこの製剤は「軟膏」という名前ですが,実際はクリームなのです.紛らわしいですが,このように販売名と基剤が一致しない外用薬もあるため,1つずつ確認することが重要になります.

Point のまとめ
1  滲出液は多すぎても少なすぎてもダメ
2  外用薬を3 つに分けて考える

 

問題1 の解答と解説
1_icon02.png それじゃあもう一度問題を見てみよう.図1の皮膚潰瘍には,油脂性基剤,水溶性基剤,乳剤性基剤のどれを使えばいいかわかるかな?

 

2_図1.png
図1(再掲) 乾燥した皮膚潰瘍
1_icon01.png 創面の水分量に応じて基剤を決めるんですよね.
1_icon04.png うん.この傷はどうかな?
1_icon01.png 乾燥しているように見えます.
1_icon04.png そうだね.となると,水分を与える基剤がいいだろうね.
1_icon01.png じゃあ,乳剤性基剤ですね.
1_icon04.png その通り.こんなふうに,まず基剤から考えるのが創傷治療のコツなんだ.

 

問題 1 の答え : c 乳剤性基剤(スルファジアジン銀クリーム)

 

 

皮疹の背景にある病態、治療薬選択のコツと使い方を徹底解説!

好評を博した『誰も教えてくれなかった皮疹の診かた・考えかた』の続編。今回は皮膚科治療をテーマに皮疹の背景にある病態から治療薬選択のコツと使いかたを徹底解説。外用薬だけでなく、経口薬・注射薬・ドレッシング材まで網羅。前作同様指導医と研修医の対話形式で、実際の症例をもとにわかりやすく解説した。

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