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[第9回]画的に映える投稿をしよう―― Instagramのフィード投稿
SNSで差をつけろ! 医療機関のための「新」広報戦略
連載 町田詩織
2025.01.10
Instagramには投稿形式が複数あります。今回からはその中でメインとなる,フィード,ストーリーズ,リールを3回に分けて説明していきます。
Instagramの最も基本的な投稿機能は,ユーザーのホーム画面に投稿が大きく表示されるフィード投稿です。しかし,フィード投稿を続けるだけではアカウントは成長していきません。投稿機能はフィードの他に24時間で消えるストーリーズ,ショート動画のリールがあり,これらの使い分け,あるいは組み合わせが欠かせません。得意不得意はあったとしても,どれか1つに偏ることなくさまざまな手段を組み合わせる必要がある点で,Instagramはまさに情報発信の総合格闘技と言えるでしょう。
今回は,投稿機能の中で最も基本となるフィード投稿のコツ,「映える投稿」について考えていきたいと思います。
過去のインスタ映えと今のインスタ映え
「インスタ映え」が「ユーキャン新語・流行語大賞」の年間大賞に選ばれたのは2017年でした。当時はおしゃれで憧れの対象となるような画像を載せ,注目を集めることがInstagramのトレンドでした。しかしユーザー層の拡大や機能追加,そして時代と共に使われ方が大きく変化したことでおしゃれなだけの投稿では通用しなくなり,「インスタ映え」は今では死語と言われるまでになりました。インフルエンサーやビジネスアカウントをはじめ発信者間の競争が激化する中,自分の投稿を多くの人に見てもらうには,新しい形での「インスタ映え」が重要だと筆者は考えます。
今のインスタ映えに必要なこと
Instagramは,既にレッドオーシャンです。ビジネスアカウントがひしめき合い,病院アカウントも,ここ1~2年でかなり増加しました。競合がしのぎを削る中で,ターゲットの目に留まり選ばれるには,果たしてどうすれば良いのでしょうか。それは,投稿の1枚目の写真にこだわり,「画的に映えさせる」ことです。
「映える」という言葉を辞書で引くと,「ひときわ目立って見えるさま」「他と比べても際立っているさま」「周囲から引き立つように見栄えがするさま」などと説明されています。何気なく流れてきた投稿が他の投稿よりも見栄えがして目立っており,ついつい気になってタップしてしまう。それが,筆者の考える「今のインスタ映え」です。特に,競合に勝ち,より多くのユーザーの関心を得るには,1枚目の写真選びがとても重要となります。
こんな投稿になっていませんか?
表情がわからない
病院アカウントの投稿は,どうしても似たような場面になりがちです。例えば,カンファレンスや研修で参加者が並んで座っている様子を後ろから撮影した写真や,被写体が正面を向いているものの,下を向いた写真などです。果たしてこれらの写真は,興味を引き,ついつい気になって見たくなる投稿でしょうか?
また,もう1つよく見かけるのが集合写真です。集合写真を撮ると,つい1枚目に使いたくなりますが,1人ひとりの大きさが小さくなり,表情がわかりにくくなる点や,構図が変わり映えせずインパクトが薄れてしまう点から,集合写真を1枚目にすることはおすすめしません。筆者は,集合写真は締めの1枚として使うことが多いです。その際もなるべく被写体の表情がわかるよう,1枚の写真に収める人数は4~5人程度にしています。
フィードの世界観が統一されていない
過去に投稿した内容を考えずに,思いついたものをそのまま投稿していませんか。
ここまでは1つのフィード投稿を映えさせる方法をお話ししてきましたが,Instagramはアカウントのプロフィール画面を見ると,これまでのフィード投稿が3列に並ぶ仕組みになっています(写真1)。投稿が積み重なった時に,プロフィール画面をのぞきに来たユーザーからどのように見えるのか,バランスを見ながら日々の投稿をしていくと,そのアカウントが持つ雰囲気や個性,いわゆる世界観が整います。
世界観が伝わるフィードは,見る人の興味がかき立てられる可能性が高まります。正方形が並ぶことを意識し,文字の色やフォントを揃えるようにすると,プロフィール画面が整ってきれいな印象を与えます。
グリッド投稿
グリッド投稿とは,1枚の写真を複数枚に分割して投稿し,任意の写真を大きく表示させる方法です。1つの画像でプロフィール画面のフィードが埋め尽くされるため,インパクトがあり,芸能人のアカウントや有名企業のアカウントでよく見かける手法です。
しかし筆者は,このグリッド投稿を推奨していません。なぜなら,グリッド投稿をすると,投稿を1つひとつ個別に見てもらうことが難しくなります。その結果,1つひとつの投稿の質を高めることと逆行してしまい,アルゴリズム上で評価が下がる原因となるからです。著名人ならまだしも,一般のユーザーはグリッド投稿は避けるべきだと筆者は考えています。
写真を使用していない,フリー素材を使用
「文字のみ」もしくは「イラストと文字」の画像で目を引く発信をすることは非常に難易度が高いです。投稿には,その施設で撮影されたオリジナルの写真を使用すべきだと筆者は考えています。
現代社会は情報で溢れかえっており,必要な情報は検索すればすぐに見つけられる一方で,他と似通った情報はすぐに埋もれてしまいます。その中で差別化を図り,付加価値を提供できる要素は,「誰が発信した情報か」という点です。筆者は,その施設にしか発信できない情報の究極の形は,その施設で撮影されたオリジナルの写真であると考えています。誰でも使用できるイラスト素材やフリー素材を並べた投稿では,他と差別化された,つい引き込まれてしまうような発信をするのは非常に難しいと言えるでしょう。「自分たちにしか発信できない情報」こそが,ユーザーに選ばれる情報なのです。
映える投稿の作り方
人の顔が映っている,表情がわかる
人間の脳は人の顔を認識して反応するようにできています。笑顔や真剣な表情が目に入ると,「何だろう」と,つい気になってしまいます。つまり,顔が映っているだけで目に留まる可能性が自然と高まるのです。
撮影時には,図々しいかなと思うくらい被写体の前に回り込みます。そして,顔を上げたり,良い表情をする瞬間をじっくりと待ちます。筆者は特に目の表情を大切にしています。
InstagramのAIには画像認証機能があり,人の顔や笑顔が映っている画像を認識して,優先的に表示するアルゴリズムが組まれています。このアルゴリズムを考慮しても,投稿には意識的に人の顔を入れることが重要だと言えるでしょう。
動きや奥行きを出す
動きや奥行きのある写真は臨場感や躍動感があり,インパクトを出すことができるので,目を引きます。
1点にピントが合い,他の部分がぼけた写真は奥行きがありドラマチックです。ボカシのある写真は,一眼レフでの撮影がおすすめです。スマホにも背景をぼかす撮影モードやアプリがありますが自然な表現は難しいです。
一方で最近のスマホ画質はとてもきれいなため,ボカシを必要としない写真はスマホ撮影で問題ありません。場面によって使い分けると良いでしょう。
明るく補正する
写真が明るいだけで,多くの写真が並ぶ中で目を引くことができます。撮影したままの写真をInstagramに投稿すると,どうしても暗く見えてしまうことが多いです。そこで,筆者は必要に応じて写真を明るく補正しています。
例えば,1投稿で写真を10枚アップする場合,10枚全ての明るさをチェックして補正を行います。非常に手間がかかり面倒ではありますが,やるとやらないとでは,投稿後の見栄えが全く異なります(写真2)。もし,この手間を省いて明るさ補正をしないまま投稿してしまうと,結果的に暗く沈んだ印象になり,映えない投稿になってしまいます。後で必ず後悔することになりますので,このひと手間を惜しまないように心がけています。
カルーセル投稿をする
投稿は複数枚の写真を並べて,紙芝居のように見せる形式にします。これを「カルーセル投稿」と呼びます。InstagramのAIは,投稿の質を評価する際に,ユーザーがその投稿を見ている時間=滞在時間を重視しています。長時間見てもらうための工夫として,複数の写真を並べるカルーセル投稿が有効です。
1投稿あたりの写真枚数は,5~6枚が適当だと言われています。最大20枚まで投稿可能ですが(※アカウントによって異なります),枚数が多すぎると逆に飽きられてしまい,最後まで見てもらえないことがあります。したがって,単に枚数を増やせば良いわけではありません。
投稿を作成する際は,使用する複数の写真を並べて比較し,最も映える写真を1枚目に,次に映える写真を2枚目に配置します(2枚目の写真が表示されて投稿が流れてくる場合もあるため2枚目にもこだわりたいところです)。写真の並び順は,時系列にこだわる必要はありません。
筆者は,写真に文字を入れてカルーセル投稿を作成し,紙芝居のように順番に見せることで,キャプション(説明文)を読まなくても投稿の内容が伝わるように心がけています。キャプションは読まれないことを前提にしていますが,読んでくれた方には「読んで良かった」と思ってもらえるように工夫しています。キャプションは手を抜かず,面白く読めるような内容にし,読者に付加価値を感じてもらえるようにしています。文章を読んでもらうことで滞在時間が延び,アルゴリズムからの評価も高まります。
以上,今回は今のインスタ映えについて考察してみました。
次回は,ストーリーズ投稿について考察していきたいと思います。
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