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[第17回](最終回)「バズ」を冷静に見つめる
SNSで差をつけろ! 医療機関のための「新」広報戦略
連載 町田詩織
2025.05.02
SNS運用に携わっていると,一度は夢見る「バズる」という現象。
「バズる」とは,インターネット,特にSNS上で特定の投稿や話題が,まるで蜂の群れが飛び交うように瞬く間に拡散され,多くの人々の注目を集める現象を指します。閲覧数は急上昇し,「いいね!」や新規フォロワーの通知が鳴り止まない――まさにSNS運用者にとっての「高揚感」を味わえる瞬間です。
「バズを起こしたい!」
と意気込んでSNS運用に取り組んでいる方も少なくないでしょう。しかし,バズは本当に追い求めるべきものなのでしょうか?
今回は,この「バズ」という現象の本質を探っていきたいと思います。
バズの仕組みをひもとく
Instagramでバズる仕組み
本連載で中心的に扱ってきたInstagramでバズが起こるまでには,いくつかの段階的なプロセスが存在します。特に最近では,「リール」が拡散の起点になるケースが増えており,リール特有のアルゴリズムの理解も欠かせません。
まさしくバズは,アルゴリズムとエンゲージメントなど複数要素の「共鳴」によって生まれる現象と言えるでしょう。
この共鳴は,ある程度は意図的に狙うことが可能ですが,必ず起こせるものではなく,運に左右される一面もあります。同じような投稿でも,少しのタイミングの違いや偶然の要素によって結果が大きく変わることがあります。
バズる投稿の共通点
Instagramでバズを起こす投稿には,偶然ではなく“共通する特徴”が存在します。魅力的なコンテンツが自然と拡散され,多くの人の目に触れる裏側には,しっかりとした理由があるのです。
その理由をひも解くと,次のような要素が含まれていることが多く見られます。
話題性:時事ネタ,トレンド,流行りの音楽など,人々の関心を引く要素がある。
これらのポイントを意識することで,投稿の拡散力を高め,バズが生まれる可能性をぐっと引き上げることができます。
バズれば良いとは限らない
バズの光と影
確かにバズは強大な影響力を持ちます。認知度が一気に上がったり,フォロワーが急増したりと,アカウントにとっても大きな効果が期待できます。
その一方で,注意すべき側面を併せ持っています。
ターゲットとの乖離:広く拡散されていても,必ずしも本来届けたいターゲット層に届いているとは限りません。
つまり,バズは「諸刃の剣」となり得るのです。
また,視覚的に魅力的なコンテンツやトレンドを意識した投稿は拡散されやすい傾向にあり認知度向上につながります。しかし,拡散されることとターゲットに届くことは別問題です。バズを狙うあまり,発信の一貫性や本来の目的を見失ってしまうと,結果として成果の獲得にはつながらないこともあります。
バズよりも大切なこと
バズはSNS運用における一つの目標となり得る一方で,決してゴールではありません。SNSの本質はフォロワーとの関係性を築き,長期的な信頼を得ることにあります。
つまりSNS運用において最も重要なことは,単なる拡散ではなく,ターゲットと深く共鳴するコンテンツを...
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町田 詩織(まちだ・しほり)氏 湘南藤沢徳洲会病院マーケティング課 主任
製薬会社MR,フリーランスを経て,2013年湘南藤沢徳洲会病院に入職する。マーケティング課で広報誌を担当後,21年2月に同課責任者に就任。24年4月より現職。21年6月から職員採用を目的に開始したInstagramは開始3年間でフォロワー数1万人超えを達成。看護師,研修医,薬剤師などの採用に成功。病院広報アワード2023SNS部門最優秀賞受賞。医療従事者向けの雑誌記事の執筆,院内外での勉強会講師,メディア施策等で幅広く活動中。
X ID:まっちー@病院広報(@MACHY_pr )
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