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外科研修のトリセツ

連載 高見秀樹

2024.12.16

Example Image救急外来で外傷の人をみるのが苦手で……。縫合がうまくできるかいつも不安なんです。
縫合も外科で学べる大切な基本手技です。糸結びと同じく,まずは型を覚えていきましょう。 Example Image

縫合方法にもいくつかのパターンがあり,針の方向,深さなど,さまざまなシチュエーションでの練習が有用です。まずは型を覚えて練習に励みましょう。

持針器(へガール)と鑷子の持ち方

手技がうまい人は無駄がなくなるので持ち方や所作が美しいです。まねることから始めましょう。

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写真1 持針器の持ち方
母指と薬指で持ち,深く指を入れすぎない。中指と人差し指で支える。
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写真2 正しい鑷子の持ち方
鉛筆を持つように母指と示指と中指で持つ。
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写真3 誤った鑷子の持ち方
トングを持つように掴んでいる。

結節縫合の型を覚えよう!

縫合の基本は結節縫合です。糸の深さと幅(バイト)を1:1にすると針の弧を自然に使った運針が可能になります。組織を壊さないために針を抜くときも針の弧を意識しましょう。

    手技動画:解説なしVer.

    手技動画:解説ありVer.

器械縫合の型を覚えよう!

針付きの糸を使う時は,その糸を何回も使うために,器械を使った結紮を行うことが多いです。なるべくショートテール(針のついてないほうの糸の端)を短くすることで糸を節約して使うことができます。慣れたら奥から手前だけでなく,バックハンド(手前から奥)や横,斜めなども練習してみましょう。

    手技動画:解説なしVer.

    手技動画:解説ありVer.

外科医の視点
・真皮埋没縫合
手術後の閉創は,吸収糸を用いた埋没縫合が主流になってきています。皮膚よりも内側に縫い目がくるので,糸が皮膚に出ないのが特徴です。皮膚をしっかり反転させて真皮から針を出す,針を刺入する練習をしましょう。練習する際は真皮層のある縫合パットを使用するのが望ましいです。

 

手技動画:解説なしVer.

手技動画:解説ありVer.


縫合練習は,各病院にある縫合キットを用いるのがいいでしょう。最近はインターネットで比較的安価に縫合セットを購入できますので,そうした練習台を活用してみるのも一手です。ただし,使った針の処理には十分注意してください。

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名古屋大学医学部附属病院 卒後臨床研修・キャリア支援センター センター長補佐

2003年名大卒。名古屋記念病院,小牧市民病院にて外科修練の後,12年名大大学院消化器外科学にて博士課程に進むと同時に,肝胆膵外科の臨床に携わる。15年に大学院を修了後,同大の教育専任教員になったことで医学教育に注力するようになる。21年4月より現職。20年から2年間は文科省医学教育科の技術参与として出向もした。現在は臨床実習や研修医教育,肝胆膵外科医教育に携わるほか,病院全体の研修医指導や指導医講習会の講師も担う。

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