訪問看護師として再就職したい看護職者を支援する学び直しプログラム開発(吉本照子)
寄稿
2009.03.23
【寄稿】
平成20年度文部科学省
社会人の学び直しニーズ対応教育推進事業
千葉大学:訪問看護師として再就職したい看護職者を支援する学び直しプログラム開発
吉本照子,緒方泰子
(千葉大学大学院看護学研究科看護システム管理学専攻・地域看護システム管理学)
石垣和子,伊藤隆子,辻村真由子
(千葉大学看護学部訪問看護学教育研究分野)
プログラムの背景と特徴
急性期病院の役割機能が特化されるとともに,在宅医療に対する社会的ニーズが増大し,その基盤の1つとなる訪問看護の質的・量的充足の必要性が高まっている。しかし,経営の安定に必要な看護師数を確保できず,休止・廃止に至る訪問看護ステーション(以下,ステーション)も少なくない。訪問看護に従事する看護師の量的確保は十分とは言い難く,小規模なステーションが多いことから,研修などの学習機会を確保しにくい状況にある。各都道府県看護協会における訪問看護師養成講習会の受講希望者が集まらず,集合研修を中止する都道府県もいくつかみられる。
こうした状況を背景に,本事業では訪問看護師として再就職したい看護職者が,各々の基礎教育,実践および社会経験をもとに在宅看護の知識・技術を学び直し,自律的に活動するための個別的・系統的な教育プログラムを開発し実施した(2008年10月1日-12月12日)。
プログラムの特徴は,多様な背景の看護職者が利用者および地域を支えるケアシステムの一員として活動するために,最新の在宅看護の知識・技術とその基盤を補強し,ステーションおよび連携機関である病院(緩和ケア病棟・神経内科病棟),介護保険施設,地域包括支援センターなどにおける実習内容を充実させたことである。14科目合計360時間(必修科目257時間,選択科目103時間)の講義・演習・実習により構成した1)2)。
受講者の特性
応募者64人に対して書類選考を行い,主に受講動機の明確さと訪問看護師として再就職する意向の強さを基準として受講者25人を決定した。うち受講したのは23人,年齢は20・30歳代10人,40・50歳代13人であった。職歴は,病院・診療所,介護保険施設,教育機関または産業看護師,介護支援専門員,行政非常勤職員など多様であり,有職者は11人(常勤3人,非常勤8人),訪問看護経験者は6人(うち現職者3人),離職期間は最長6年4か月であった(2008年7月現在)。居住地は千葉県14人,東京都9人であった。
実施体制
訪問看護学教育研究分野・地域看護システム管理学領域の教員5人が担当となり,41人の学内・外講師,40施設の協力を得て実施した。外部検討委員として千葉県看護協会長,千葉県訪問看護ステーション連絡協議会長,ステーション管理者2人,訪問看護学分野の他大学教員2人,また第三者評価委員として在宅医療にかかわる医師・研究者,訪問看護などの管理に従事している看護師,教育学分野の研究者の協力を得た。プログラム評価に関連した調査...
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