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[第6回]文献読解のための最強ツール:NotebookLMの活用法
面倒なタスクは任せてしまえ! Gen AI時代のタイパ・コスパ論文執筆術
連載 中島誉也
2024.11.22
前回までは文献検索・管理のツールを紹介してきましたが,見つけた論文は結局読まなければ意味がありません。とはいえ,限られた時間の中で多くの論文を精読するのは容易でないことは皆さんよくご存じでしょう。今回は,AIを活用して効率的に論文を読み解くための強力なツール「NotebookLM」について詳しく解説します。
なぜ文献読解支援ツールが必要か
研究を進める,計画する上では,キーとなる論文を含め最低限5~10本程度の論文を読み込むことが必須です。もちろん,従来のように論文を一本一本精読し,内容の理解に努めることが望ましいのは間違いないものの,次のような課題があります。
時間的制約:研究計画の立案や論文執筆の締め切りに追われる中で,臨床業務や他の研究活動も両立しなければならない現実。
理解度の問題:専門用語・複雑な研究手法の理解や,英語論文特有の言い回しの解釈が容易ではないこと。
情報の統合:複数の論文の内容を関連付けて理解したり,研究の全体像の把握をしたりするには時間を要すること。
これらの課題に対して,NotebookLMを活用することで効率的な文献読解が可能になります。
Googleが開発した革新的な文献読解支援ツール
NotebookLMは,Googleが開発したAIベースの文献読解支援ツールで,以下の特徴を持ちます。
複数文献の分析:最大49件の論文を同時にアップロード可能で,複数文献の同時分析もできます。また,文献間の関連性を自動で分析してくれることも大きなメリットです。
正確な情報抽出:アップロードした文献のみの内容に基づいた回答を作成してくれます。どの箇所の記載をもとにその回答を生成したのかを明示してくれるため,ハルシネーション(AIによる誤った情報生成)のリスクを排除でき,情報の裏付けも可能です。
NotebookLMと一般的なGen AI(ChatGPT,Claude,Gemini)の主な違いは表に示した通りです。NotebookLMがアップロードした情報のみを情報源とし高い正確性と明確な引用を重視する一方,Gen AIは幅広いデータを基に創造的なタスクをこなせるものの,時に不正確な情報を生成する(ハルシネーション)可能性があります。
基本的な操作方法・機能
NotebookLMの基本的な操作方法について,ご紹介をしていきます。
文献のアップロード:PDFやGoogleドキュメント形式の論文をドラッグ&ドロップ,あるいはファイルを選択してアップロードします。WebサイトのURLを貼り付けて直接取り込むことも可能です。
質問と回答:論文をアップロードすると,論文の要約や内容に関する質問の候補を自動で挙げてくれます。研究手法や結果などに関する質問を行ってみましょう。質問の方法によっては,複数の論文間の関連性を探ることも可能です。
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中島 誉也(なかしま・たかや)氏 長崎大学病院麻酔科 修練医1年目
長崎大医学部医学科在籍時代から医療AIや臨床研究に興味を持ち,ベンチャー企業でのインターンや複数の臨床研究を手掛けてきた。2022年に同大を卒業。現在は麻酔・集中治療分野の大学院や国内外のデータベースを用いた臨床研究を行いつつ,麻酔科医として臨床業務にも携わっている。
X ID:@naka_takaya
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