逆輸出された漢字医学用語
[第8回] 梅毒
連載 福武敏夫
2024.01.15 週刊医学界新聞(通常号):第3549号より
筆者は医師になって40年余になるが,その初期に「神経梅毒」の各病型患者に遭遇した。例えば,ふらつきを主訴に受診した強面の50代男性には,運動失調やArgyll Robertson瞳孔などを始め異常所見がみられなかったものの,何か見逃したら大変だと思って2度目の診察でタンデム歩行をしてもらったらこれができず,「脊髄癆」と診断できて治療することができた。80代の農婦でみられた肘関節の無痛性破壊的異常は,両下肢を180度も拡げられる筋緊張低下から「Charcot関節(脊髄癆性関節変形)」と診断できた。大手印刷会社に勤める30代男性の妙な脳症が「進行麻痺」であった時には驚いたが,2回の治療でなんとか治せた。その後も時々遭遇することがあったものの,感染から長期を経て起きる「神経梅毒」は減少している。ところが,梅毒感染自体は本邦で2010年頃から激増しており,10~20年後がとても心配である...
この記事はログインすると全文を読むことができます。
医学書院IDをお持ちでない方は医学書院IDを取得(無料)ください。
この記事の連載
逆輸出された漢字医学用語(終了)
いま話題の記事
-
医学界新聞プラス
[第1回]心エコーレポートの見方をざっくり教えてください
『循環器病棟の業務が全然わからないので、うし先生に聞いてみた。』より連載 2024.04.26
-
医学界新聞プラス
[第2回]アセトアミノフェン経口製剤(カロナールⓇ)は 空腹時に服薬することが可能か?
『医薬品情報のひきだし』より連載 2022.08.05
-
医学界新聞プラス
[第1回]ビタミンB1は救急外来でいつ,誰に,どれだけ投与するのか?
『救急外来,ここだけの話』より連載 2021.06.25
-
医学界新聞プラス
[第1回]PPI(プロトンポンプ阻害薬)の副作用で下痢が発現する理由は? 機序は?
『医薬品情報のひきだし』より連載 2022.07.29
-
医学界新聞プラス
[第3回]冠動脈造影でLADとLCX の区別がつきません……
『医学界新聞プラス 循環器病棟の業務が全然わからないので、うし先生に聞いてみた。』より連載 2024.05.10
最新の記事
-
対談・座談会 2025.07.08
-
対談・座談会 2025.07.08
-
地域の皮膚・排泄ケアの質向上を実現する
WOCナースのアウトリーチ活動を全国へ対談・座談会 2025.07.08
-
FUSという新たな疾患概念
多様な体型を肯定する社会をめざして
田村 好史氏に聞くインタビュー 2025.07.08
-
インタビュー 2025.07.08
開く
医学書院IDの登録設定により、
更新通知をメールで受け取れます。