筋肉注射の手技を再確認できる機会を
新型コロナワクチン集団接種のための筋肉注射 実技セミナー開催
取材記事
2021.05.31 週刊医学界新聞(看護号):第3422号より
新型コロナウイルス感染症(以下,新型コロナ)のワクチン接種が開始されたことに伴い,接種業務の一端を担う看護職からは「より安全で正しい筋肉注射の手技を学びたい」との声が高まっている。中には看護師資格を有しているものの現在は離職中である「潜在看護師」も含まれる。こうした声を受け東京都看護協会は,潜在看護師をはじめとする集団接種への協力を検討中の看護職を対象に「新型コロナワクチン集団接種のための筋肉注射 実技セミナー」を継続的に実施。本紙では,5月11日に開催された本セミナーの模様を紹介する。
「私もコロナ禍で何か手伝いたい」という看護師の声に応えるために
「ワクチン接種を通じてコロナ禍を収束させられるよう,共に頑張ろう」。都看護協会会長の山元恵子氏による参加者30人への激励の言葉を皮切りに,セミナーは始まった。セミナーは座学と実技の2部から構成される。座学では,スライド資料や動画を用いて,ワクチン接種の全体の流れや感染対策のための安全配慮に関する情報に加え,①肘は張らず,自然に下ろした姿勢を取ってもらう,②刺入部は大きくつかまず軽く固定する,③刺入後の逆血の有無の確認は不要,④刺入後は注射部位を揉まずに軽く圧迫する程度に留める,といった,最新のエビデンスに基づく正しい筋肉注射の方法が共有された。
その後,参加者6人と協会所属の看護師1人が1チームになり,筋注モデルを用いた実技講習に移った(写真)。接種手技だけでなく,バイアルから薬液を吸う練習や被接種者への声掛けを含め一連の流れを実践した。終了後参加者には,セミナーの修了証が都看護協会から発行された。
![3422_0301.jpg](https://www.igaku-shoin.co.jp/application/files/2716/2191/1023/3422_0301.jpg)
都看護協会所属の講師(右)による指導の下,筋注モデルを取り付けた患者役の参加者(中央)の腕にワクチンを模した水道水を注射している。筋注モデルは正しい位置に注射されると青いランプが点灯するように設計されている。
本セミナーの発案者である都看護協会の上原さゆり氏は,「参加者の中には潜在看護師もいるため,可能な限り実技講習の時間を長く確保した」とセミナーの工夫点を語った。都看護協会はニーズに応じて,今後も新たなセミナーの開催などの対応を検討しているという。
「臨床から離れて約20年。家庭や仕事の都合で病棟での勤務は難しいが,コロナ禍で私も何か手伝いたいと思った」と話した参加者は,セミナー後に「現場で推奨されている手技を学ぶことができたので大変参考になった。実際に行う際には緊張すると思うが,やり遂げたい」と,集団接種への意欲を語った。
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