医学界新聞

連載

2017.01.23



看護のアジェンダ
 看護・医療界の"いま"を見つめ直し,読み解き,
 未来に向けたアジェンダ(検討課題)を提示します。
〈第145回〉
オーサーシップ(著者資格)

井部俊子
聖路加国際大学特任教授


前回よりつづく

 12月になると東京はイルミネーションが街のそこここで競うように輝き,クリスマスソングが流れる。そんな世界と無縁な時間を過ごしているのが修士論文や博士論文の完成を目ざしている大学院生たちである。彼らの部屋は遅くまで灯りがともり消えることはない。彼らは,論文提出,論文審査・最終試験を終え,めでたく学位が授与され修了となる。その次に,論文を公表するという任務が待っている。しかるべき媒体を選んで論文を投稿し査読を受けた後,論文が世に出る。

 今回,「看護のアジェンダ」としたいテーマはオーサーシップ(著者資格)についてである。公表された大学院生(と思われる)の論文の著者の欄に,当該者と共に指導教員と思われる名前が半ば当然のように並ぶことへの私の違和感を解消するためである。

日本医学会 医学雑誌編集ガイドライン

 「日本医学会 医学雑誌編集ガイドライン」(日本医学会 日本医学雑誌編集者会議,2015年3月)の第3章「著者と医学雑誌・編集者の倫理規範の策定」の中に「オーサーシップ(著者資格)」の項がある。

 まず,本ガイドライン作成の経緯を紹介したい。医学雑誌編集者を対象とした国際的な推奨・声明類には,医学雑誌編集者国際委員会(ICMJE)や世界医学雑誌編集者協会(WAME)などから発表されているものがある。ICMJEの統一投稿規程であるUniform Requirements for Manuscripts Submitted to Biomedical Journalsは,1978年発表当時はスタイル・マニュアルの性格が強かったが,改訂を重ねるごとに発表倫理や医学雑誌の質の向上に関する記述の割合が大きくなった。2013年8月には名称が変更され,Recommendation for the Conduct, Reporting, Editing, and Publication of Sch...

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