医学界新聞

2016.11.07



第24回総合リハビリテーション賞決定


井上靖悟氏
 第24回総合リハビリテーション賞の贈呈式が9月28日,医学書院(東京都文京区)にて行われた。今回は,井上靖悟氏(東京湾岸リハビリテーション病院/理学療法士)他「力学的エネルギー交換率の歩行効率指標としての妥当性――脳卒中片麻痺患者および健常者における検討」[総合リハビリテーション.2015;43(11):1049-54.]が受賞した。

 本賞は,『総合リハビリテーション』誌編集顧問の上田敏氏が東大を退官する際(1993年)に金原一郎記念医学医療振興財団に寄付された基金を原資として発足。今回は,2015年発行の『総合リハビリテーション』誌に掲載された投稿論文29編を選考対象とし,最も優れた論文に贈られた。

 井上氏らの論文は,力学的エネルギー交換率(%R)が歩行効率の指標として妥当であるかどうか検証することを目的に,生理的コスト指数(PCI)との併存的妥当性(基準関連妥当性)を検討したもの。歩行が近位監視レベル以上の回復期脳卒中患者21人と健常高齢者15人を対象とした。快適速度での10 m歩行速度とその間の%R,6分間歩行から得たPCIを測定したところ,10 m歩行速度を制御変数とした%RとPCIで有意な負の相関を認めたことから,脳卒中片麻痺患者の快適歩行において%Rは歩行効率の指標として妥当だと結論付けた。

 『総合リハビリテーション』誌編集委員を代表して高岡徹氏(横浜市総合リハビリテーションセンター)は,「シンプルな仮説と実験方法,理解しやすい結果,そして現在の限界などがわかりやすく述べられている点を評価した。有効な利用方法を探るため,研究をさらに深めてほしい」と講評した。受賞のあいさつに立った井上氏は日頃から指導を受けている周囲の方へ感謝の意を表明した上で,「研究成果を患者さんへ還元するべく,今後も努力を重ねていきたい」と抱負を語った。

 『総合リハビリテーション』誌では2016年にも,掲載された投稿論文から第25回総合リハビリテーション賞を選定する。同賞の詳細については,『総合リハビリテーション』誌投稿規定を参照されたい。

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