医学界新聞

連載

2016.08.08



臨床医ならCASE REPORTを書きなさい

臨床医として勤務しながらfirst authorとして年10本以上の論文を執筆する筆者が,Case reportに焦点を当て,論文作成のコツを紹介します。

水野 篤(聖路加国際病院 循環器内科)

■第5回 想定外を想定内に――Cover letter作成と電子投稿の流れ


前回よりつづく

レジデント「本文が書き上がりました!! 早速投稿っすね!」

カリスマ先生「そうですね。ではCover letterを書きましょう!」

レジデント「え,まだやることがあるんすか?」

カリスマ先生「本文以外の提出書類の用意と提出がありますね」

レジデント「ええ~?! 面倒くさい! やる気なくしました~」

カリスマ先生「(先に説明しておくべきだったか……)」


 画像と本文ができれば,Imagingの論文としてはほぼ完成なのですが,投稿するとなると,実はまだここから2~3時間かかることがあります。

 何をするのか? というのが今回のお話です。

Cover letterで論文の強み・ポイントを伝える

 Cover letterとは,あいさつの手紙のことです。大量に来る論文を査読する中でも目につくように,今回の論文の強み・ポイントを簡潔に伝えることが主たる目的です。

 また,医師は一般的なビジネスマナーには疎い方が多いと思いますが,就職活動では履歴書に添え状を同封するのは当然のようです。同様に,投稿時に論文だけをEditorial office(編集室)に送りつけるのは失礼に当たります。つまり,Cover letterはマナーの要素が強いため,“粗相”がないことが重要です。あまりにも失礼な手紙だと「何だこれは」と怒られたり,印象が悪くなったりするということです。

 したがって,言い切ります。

テンプレートを使ってください。

Editor in chief(編集長)の名前
論文名
自分の名前,所属,投稿日
論文を読んでくださって
ありがとうございます!
この論文は●●がすごいんです。
ぜひ掲載してほしいと願っています。
COIとか全て開示しています。

という流れが一般的ですね。

 各病院にいくつかテンプレートを持っている先生がいるので,それを使いまわすのが簡単です。

 指導医がいないって言ったじゃないですか! という方も安心してください。

ググれば出ます。

 論文のCover letterの場合は
Cover letter template journal
で検索してください。

 ちなみに,テンプレートを使用したせいでReject(不採択)になったという話は聞きませんが,あくまで「参考」にして,自分流で作成するようにしてください(テンプレートは著作権フリーなものが多いですが,そうでないものや「使用時には連絡をください」というものもあります。気を付けましょう)。

 私が使用しているもの()も自己判断で調整し,使用してOKです。

 Cover letterの例(色文字部分は適宜変更)

同意書の署名も忘れずに!

 「画像」「本文」「Cover letter」が完成して,提出の準備ができた! と思いきや,Submit(投稿)ボタンを押すまでにはまだいくつかの障壁があります。

 意外な落とし穴は同意書の署名サイン)。サインの必要な雑誌とそうでない雑誌があるので,実際に提出する段階まで気付かないことや,提出後にEditorial officeから連絡があって気付くことも多いです。

 確認が面倒で同じ雑誌に出し続ける人も多いですが,せっかくなのでいろんな雑誌に投稿してみるのも一興です。Imagingは共著者がいても少人数ですし,症例報告なので同じ施設の先生ですよね。後から署名をもらうとしても,多施設研究の論文ほどは面倒ではありません。

投稿までの最後の道

 以下に電子投稿の流れを紹介します。長いですが,ここを乗り切りましょう。

ID,パスワード作成
 初めて投稿する雑誌の場合,名前やメールアドレスを登録し,投稿ページにログインするためのID,パスワードを作...

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