多職種共通の目標で連携を進める(吉本尚)
「医療保健福祉分野の多職種連携コンピテンシー」を開発
インタビュー
2016.06.27
【interview】
多職種共通の目標で連携を進める
「医療保健福祉分野の多職種連携コンピテンシー」を開発
吉本 尚氏(筑波大学附属病院総合診療科講師)に聞く
――「医療保健福祉分野の多職種連携コンピテンシー」(以下,本コンピテンシー)が2016年3月に公開されました1)。多職種連携(IPW)とその教育(IPE)は,卒前・卒後を問わず注目されています。開発の経緯をお話しください。
吉本 総合診療医として,病院,診療所,地域のさまざまな職種とかかわる中で,現場でうまく連携している人にはある一定の共通能力があるように感じていました。医療者同士の連携の努力が既になされている所がある一方で,「顔の見える関係」ばかりが強調される例も耳にし,現状のままで医療者に連携の力がつくのか疑問を持っていました。
――「多職種連携」には抽象的なニュアンスがあり,職種によってもとらえ方が異なるのではないでしょうか。
吉本 連携の学びは,これまで個人や各職種に委ねられていました。しかし,職種ごとに連携の知見が積み重なると,いざ皆で共通のゴールに向かおうとなったとき,「私たちの領域ではこの方法」「いや,私たちは違う」と足並みが乱れることへの懸念がありました。そこで2012年に,8領域の学会・職能団体の協力を得て,一つのコンピテンシーを開発しようとしたのが始まりです。医療は多職種で進めないことには,結局は患者さんのアウトカムにつながりませんから。
――では,多職種連携の上で,本コンピテンシーはどのような位置付けになりますか。
吉本 そもそも「コンピテンシー」とは,知識や技術,態度などを含む「卓越した業績を上げる人の能力」から抽出されます。そこで本コンピテンシーは,多職種連携を図ろうとする専門職の持つべき能力として,めざすべき北極星のような役割を果たします。医療保健福祉従事者は,目標に向けて自分にどのような能力が必要なのかを考え,...
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