医学界新聞

2015.06.29



新専門医制度の構築に向けて

第111回日本精神神経学会の話題から


 2013年4月,厚労省より「専門医の在り方に関する検討会報告書」が発表されたことを受け,各専門学会が参加して組織された「日本専門医制評価・認定機構」が解散し,翌年5月に「日本専門医機構」(以下,機構)が新たに発足した。機構は中立的な第三者機関として,各学会との密接な連携のもとで専門医の認定,養成プログラムの評価・認定を実施し,これまで各学会が独自に行ってきた専門医認定基準の統一,専門医の質の担保を図る。

 精神科は機構が定める基本領域(基幹18学会に総合診療を加えた19領域)の一つとなっており,日本精神神経学会では他の基幹学会と同様,機構との協議のもと「専門医制度整備指針」に沿った制度作りを進めている。第111回日本精神神経学会(会長=奈良医大・岸本年史氏,2015年6月4-6日,大阪市)において開催されたシンポジウム「精神科専門医制度の構築に向けて」(司会=藍野大・武田雅俊氏,大宮厚生病院・小島卓也氏)では,現時点での精神科専門医の専門研修プログラム整備基準案,機構認定専門医更新基準案が紹介され,今後の検討課題が示された。

精神科専門医の質向上と精神科医療の発展をめざす

岸本年史会長
 「現在の精神科専門医制度における基本姿勢は,新専門医制度で全ての医師に求められる姿勢との共通点が多い」。シンポジウムの冒頭,新専門医制度について概説した山内俊雄氏(埼玉医大)は,現行制度をそう評価した。氏は新制度の導入に伴い,研修施設・指導医の役割が明確化されること,定期的な研修状況の点検や評価・フィードバックの実施によって研修の質が向上することに期待を示した。その一方で,専攻医の給与設定や地域医療の崩壊を来さない研修施設群の設定など,解決すべき問題点も多いと指摘した。

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