医学界新聞

2015.04.06



腹部救急疾患の初期対応を議論

第51回日本腹部救急医学会総会の話題から


 プライマリ・ケアの現場で頻繁に遭遇する「腹痛」。原因疾患は多岐にわたり,緊急性の高い場合も多い。迅速,的確な初期対応のために,教育や診療をどう工夫していくべきなのか。さる3月5-6日,国立京都国際会館(京都府京都市)にて開催された第51回日本腹部救急医学会総会(会長=滋賀医大・谷徹氏)で開かれたワークショップ「腹部救急疾患における初期対応――その問題点と対策」(司会=千葉大病院・生坂政臣氏,広島大病院・田妻進氏)では,腹部疾患の初療の現状と課題が話し合われた。

ワークショップの模様
 司会の田妻氏によると,広島大病院総合診療科への成人受診者では,腹痛は主訴の15%を占めて最多という。診療において必須となるのは問診と身体診察のスキルだが,それに加え,画像診断の手技として腹部超音波検査と上部消化管内視鏡検査を身につけておくべきと提言した。また,腹部救急医学会など5学会が共同で編集した『急性腹症診療ガイドライン2015』(医学書院)が刊行されたことに触れ,明示されたエビデンスに基づいて,腹痛などコモンな症状の初療と高度医療へのトリアージを的確に行うことが,これからのプライマリ・ケア医に求められる役割と結論付けた。

 沖縄県立中部病院からは総合内科の金城紀与史氏が,同院の初期研修プログラムを紹介した。同プログラムでは,通年で救命救急センターでの外来研修を実施。そこで初期研修医が学ぶべき症状・病態・疾患のほとんどが経験でき,基本的診療能力が身につくという。一方,研修2年目には総合内科での外来研修が行われ,医師-患者関係の築き方や予防・生活指導の知識など,救急とは異なる学びが得られる。この外来にて救急受診患者のフォローアップも行っており,こうした救急と外来の連携が,教育や医療安全にもたらすメ

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