第9回医療の質・安全学会学術集会開催
2014.12.22
患者本位の医療を実現するために
第9回医療の質・安全学会学術集会開催
第9回医療の質・安全学会学術集会が11月22-24日,高久史麿大会長(医療の質・安全学会)のもと,「患者本位の質・安全を追求する21世紀医療システムの構築に向けて」をテーマに開催された(会場=千葉市・幕張メッセ国際会議場)。本紙では,医療者の超過勤務,若手医師の質改善活動について議論した2つのシンポジウムの模様を報告する。
医療者自身の健康が患者の安全につながる
高久史麿大会長 |
まず,濱口桂一郎氏(労働政策研究・研修機構)が,日本人の労働時間に対する意識の変化について概説。1911年,長時間労働による健康被害から女子年少者を守るために制定された工場法によって,日本で初めて労働時間の規制が行われた。戦後制定された労働基準法で男女共に労働時間の上限が設けられたものの,同法36条に基づき労使協定を結び,届け出を行えば労働時間を延長できたため,長時間労働問題の焦点は,労働者の健康被害ではなく賃金の有無に移行してしまったと指摘。近年,過労死など労働災害の増加により,発生後の補償ではなく予防をめざす動きが出始めたことを受け,氏は,工場法に立ち返り,“労働者の安全と健康を守る”という観点で労働時間を見つめ直すべきだと呼び掛けた。
勤務医の健康状況を報告したのは,保坂隆氏(聖路加国際病院)。日本医師会による医師約4千人への調査の結果,スクリーニングテストで約12人に1人が抑うつ状態,約50人に1人がうつ病に該当したという。また,同僚に知られたくないなどの理由から,自身の体調不良を周囲に相談しない傾向も浮き彫りになり,職場でのストレステストに正しく答えていない医師も多いのではないかとの懸念も生じた。また,抑うつ状態と睡眠時間に強い負の相関があったことに触れ,ストレス状況を把握するためには睡眠に関する複数の質問が有用になり得ると分析。抑うつ状態では集中力・思考力・決断力が低下し,重大な医療事故につながりか
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