心を込めて押させていただきます 印鑑さん(鶴岡優子)
連載
2012.10.01
(前回からつづく)
在宅医療の現場にはいろいろな物語りが交錯している。患者を主人公に,同居家族や親戚,医療・介護スタッフ,近隣住民などが脇役となり,ザイタクは劇場になる。筆者もザイタク劇場の脇役のひとりであるが,往診鞄に特別な関心を持ち全国の医療機関を訪ね歩いている。往診鞄の中を覗き道具を見つめていると,道具(モノ)も何かを語っているようだ。今回の主役は「印鑑」さん。さあ,何と語っているのだろうか?
三文判ではなく認め印で 私は三文判とか認め印と呼ばれます。実印さんや銀行印さんと区別されるのは仕方ないけど,「二束三文」と決めつけなくてもねえ。普段は,ライトのキーホルダーをつけ,小さい朱肉付きのケースに収められています。 |
私はある往診鞄に生息する印鑑です。ザイタクで押印が求められる場面というと,一番多いのが処方箋の作成時でしょうか? 大抵の処方箋は電子カルテで処方医の氏名までが印字されており,記名欄にポチと押印します。それらの役割を担うのは,私の仲間のインキ浸透型のゴム印,いわゆるシャチハタ族の皆さんが多いようです。ええ,この往診鞄の中には複数のシャチハタさんがいらっしゃいます。なんせこの鞄の持ち主,忘れ物のプロですからね。患者と在宅医の苗字が一緒なんてこと...
この記事はログインすると全文を読むことができます。
医学書院IDをお持ちでない方は医学書院IDを取得(無料)ください。
いま話題の記事
-
医学界新聞プラス
[第1回]心エコーレポートの見方をざっくり教えてください
『循環器病棟の業務が全然わからないので、うし先生に聞いてみた。』より連載 2024.04.26
-
対談・座談会 2022.04.18
-
VExUS:輸液耐性が注目される今だからこそ一歩先のPOCUSを
寄稿 2025.05.13
-
医学界新聞プラス
[第3回]冠動脈造影でLADとLCX の区別がつきません……
『医学界新聞プラス 循環器病棟の業務が全然わからないので、うし先生に聞いてみた。』より連載 2024.05.10
-
医学界新聞プラス
[第2回]アセトアミノフェン経口製剤(カロナールⓇ)は 空腹時に服薬することが可能か?
『医薬品情報のひきだし』より連載 2022.08.05
最新の記事
-
実践の向上,人々のウェルビーイングを見据えた看護研究に向けて
対談・座談会 2025.05.13
-
どう動く? どう導く?
プレイングマネジャーが直面する働き方改革対談・座談会 2025.05.13
-
寄稿 2025.05.13
-
VExUS:輸液耐性が注目される今だからこそ一歩先のPOCUSを
寄稿 2025.05.13
-
子どもの自殺の動向と対策
日本では1 週間に約10人の小中高生が自殺している寄稿 2025.05.13
開く
医学書院IDの登録設定により、
更新通知をメールで受け取れます。