医学界新聞

連載

2012.09.24

小テストで学ぶ “フィジカルアセスメント” for Nurses

【第24回(最終回)】入院中のADLほか(4)

川島篤志(市立福知山市民病院総合内科医長)


前回よりつづく

 患者さんの身体は,情報の宝庫。“身体を診る能力=フィジカルアセスメント”を身に付けることで,日常の看護はさらに楽しく,充実したものになるはずです。
 そこで本連載では,福知山市民病院でナース向けに実施されている“フィジカルアセスメントの小テスト”を紙上再録しました。テストと言っても,決まった答えはありません。一人で,友達と,同僚と,ぜひ繰り返し小テストに挑戦し,自分なりのフィジカルアセスメントのコツ,見つけてみてください。


■問題

浮腫

(17)浮腫は,   前面を10秒間押して,凹みと返りを診る。   秒以内で戻るものはFast edema,   秒でも戻らないものをSlow edemaと呼ぶ。Fast edemaの代表は   であり,他の多くはSlow edemaである。なお,足先を観察することで,   のうっ滞を伴っているかどうかも推測できる。

(18)浮腫では通常,   側のほうがむくみやすいため,   側がむくんでいれば,その上流に閉塞機転がないか必ず意識する。

(19)脳血管障害後などの麻痺側では浮腫が出やすい。皮膚は最大の防御機構であるが,浮腫があると   を起こしやすく,   などがあればさらにリスクが高まるので注意が必要である。

★あなたの理解度は? RIMEモデルでチェック!
 R   +I   +M   +E   =100
 Reporter(報告できる)/Interpreter(解釈できる)/Manager(対応できる)/Educator(教育できる)

※最も習熟度が高いEの割合が増えるよう,繰り返し挑戦してみましょう。

解説

2年間続いたこの連載もいよいよ最終回,あと3問となりました。最後までお付き合いのほど,よろしくお願いします。

浮腫

(17)下腿のむくみは,脛骨前面を圧迫するのが一般的な診方です。骨があるところはしっかり圧迫できるので,約10秒間圧迫し,凹みがどれくらいで戻るかを見ます。Fast edemaは40秒以内で戻るとされ,病態としては最近生じた低アルブミン血症ということになります。代表的なのはネフローゼ症候群でしょうか? “ぱぁ~ん”と戻ってくる感じです。頻度も低めなので,皆さんがよく診る浮腫は次のSlow edemaで,原因は大まかに言うと心不全・腎不全等や,慢性経過の低アルブミン血症になります。

 Slow edemaは60秒でも戻らないとされ,凹んだものの表面をなでると,しばらく凹みが実感できます。じゃあ,50秒は? と聞きたくなりますが,これは研究デザインによるものなので,あまり気にせずにいきましょう!

 足先のむくみは,リンパ管のうっ滞が関与しているときの浮腫になります。第2趾の基部が肥厚していて,ムニュっとした感触でつまみにくい所見のことをStemmer signと言います。既に認識している人もいるかもしれませんが,足の浮腫の多くは足の甲からむくんでいる(指趾は意外とむくんでいない)と思いませんか?

 また脛骨前面や

この記事はログインすると全文を読むことができます。
医学書院IDをお持ちでない方は医学書院IDを取得(無料)ください。

開く

医学書院IDの登録設定により、
更新通知をメールで受け取れます。

医学界新聞公式SNS

  • Facebook