英国編(水野篤)
連載
2012.05.14
臨床研修ええとこどり!!
around the world
研修病院見学ルポ[番外編]
水野 篤(聖路加国際病院 循環器内科)
『研修病院見学ルポ』(「週刊医学界新聞」連載,2009年5月-10年4月)での日本の研修病院見学に加え,かねてから行いたかった世界の病院見学。「世界の中での日本を知りたい」という思いを胸に,若造でしかわからない何かを求めて旅に出た。相も変わらず一部の研修病院についての主観的な報告だが,各国での初期研修の実際や研修医のその後の進路を紹介し,日本にも生かせる「ええとこ」を見つけていけたらと思う。さらに熱い日本をめざして。
(全4回)
(2973号よりつづく)
【第4回(最終回) 英国編】
人口-6180万人(2010年)。人口密度は日本より若干少ない254人/km2(日本343人/km2)。
見学病院-Royal brompton hospital(295床)
最終回では,英国での病院見学の報告と世界の研修病院見学の総括を行う。英国は厳かな貴族の印象を持っており,優雅なアフターヌーンティーや夜間の社交パーティーをイメージしていた。しかし,実際の英国は極めて近代的である一方,伝統も随所に感じられ,新旧が交わった素晴らしいところであった。
英国の病院見学では,歴史あるRoyal bromptom hospitalを見学した。また同院の研修医に,医学教育についても少し話を伺った。
英国の医学教育
朝のカンファレンスの光景。日本と特に大きな違いはないが,厳しい突っ込みが入り,プレゼンテーションも気を抜けない。 |
Consultantと呼ばれる病院勤務の専門医になるまでの研修中は,下働きも多く忙しいようだ。しかし,研修システムの改善が頻繁に行われており,特に卒後研修においては研修内容がFoundation programmeでキチンと定められている点は素晴らしいと感じた。どの専門科に進むとしても,卒前・卒後の教育を通じて問診・身体所見などの基本的な診療能力が適切に培われることから,優れた研修システムであると言えるだろう。
臨床と研究
見学した病院では,それぞれの医師が臨床をしながら,同時に研究も行っているとのこと。研修医は上級医の指示のもとで研究に従事することがほとんどで,若い医師が最初から研究を主導できるような環境ではないようだ。
筆者が話を聞いた医師はみな臨床能力が高く,診察時のマナーなども素晴らしかった。例えば,卒後5年目の循環器の後期研修医(Specialty Registrar)は,心窩部不快感が主訴で過去に複雑心奇形の手術を行った患者に対し,ドア開閉への気の配り方,同席する医師の説明,ベッドに横たわるところから診療への流れも非常に落ち着いており,安心して見学できた。診療技術は学生時代から叩き込まれるようで,心...
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