急変時(2)(川島篤志)
連載
2012.04.23
小テストで学ぶ "フィジカルアセスメント" for Nurses
【第19回】急変時(2)
川島篤志(市立福知山市民病院総合内科医長)
(前回よりつづく)
患者さんの身体は,情報の宝庫。"身体を診る能力=フィジカルアセスメント"を身に付けることで,日常の看護はさらに楽しく,充実したものになるはずです。
そこで本連載では,福知山市民病院でナース向けに実施されている"フィジカルアセスメントの小テスト"を紙上再録しました。テストと言っても,決まった答えはありません。一人で,友達と,同僚と,ぜひ繰り返し小テストに挑戦し,自分なりのフィジカルアセスメントのコツ,見つけてみてください。
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■解説
「急変時の対応」についての小テストの2回目です。
急変:薬剤などの投与時
(5)各種薬剤によるアレルギー反応,アナフィラキシーは当たり前ですが病棟でも起こり得ます。なかでも病棟内でかなり意識されているのが,「抗菌薬の経静脈投与」ではないかと思います。患者さんの自己申告によるアレルギー歴は意外とあてにならない(?)ものですが,それでもやはり,アレルギー歴のある場合には慎重にならざるを得ません(過小評価はいけませんが,患者さんの言う"アレルギー"が何を指しているのか,確認しても差し支えないと思います)。
さて,抗菌薬の皮内反応試験が中止されてずいぶん経ちますが,皆さんの施設での抗菌薬投与前の手順はどうなっているでしょうか。同意書が必要な場合や,「投与後○分間の見守り」を必要とする場合もあるかと思います。どんな状態になったらナースコールで呼んでもらうか,という説明書なども作成済みかもしれません。ちなみに当院では,医療安全委員会のリスクマネジャーである薬剤師さんが作成したラミネート加工の資料を渡すなどしています。院内での手順をよく理解し,万一現場に適用しにくいルール(遵守できなさそうなルール)であれば,管理側に相談することも重要かもしれません。
造影剤でのアナフィラキシーはかなり意識されているでしょうし,頻度もそれなりに高いかもしれません。点滴ルートの確保を含め,誰が造影剤を投与するか,これも病院の規模や医師数・看護師数などの事情により異なるでしょう。当院を含め,今まで筆者が在籍した職場での印象では,造影剤アレルギーへの対応は,医師・看護師さんよりも,その現場にいる放射線技師さんがよく手順を理解していました。
輸血前にちょっとした薬(抗ヒスタミン薬など)を投与する院内ルール,もしくは主治医の嗜好があるかもしれません。ただ,これは輸血時の発疹や発熱などへの対応で,血液型不適合輸血への対応ではありません。個人的には血液型不適合輸血を診た経験がありませんが,成書で読む範囲では非常に重篤なようです。当然ながら各施設での決まりごと(名前の確認方法,製剤のダブルチェックの方法,投与後の確認方法など)や手順があるはずですので,その遵守が求められるでしょう。ただし,マニュアルがあっても周知されていなければ意味がありません。毎年のリマインダーが重要ですね。年度が変わったときこそ,チェックが必要です。
(6)急変時は,人を集めることがとにかく重要です。シミュレーション実習では,"実習"なので人はすぐに集まってくれますが,実際の急変現場ではなかなか難しいですよね。院内の緊急連絡先などは把握していますか? 覚えてしまうか,わかりやすい場所(名札の裏など)にメモしておかなければ,いざというときに活用できません。人を集めたときにどのようにリーダー(その場を仕切る人)を決める・交代していくか,集まりすぎた人をどう整理するか,まで決まっている成熟した施設もある...
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