医学界新聞

2012.03.19

第26回日本がん看護学会開催


 第26回日本がん看護学会が2012年2月11-12日,くにびきメッセ・松江テルサ(島根県松江市)にて開催された。松尾英子会長(島根県立中央病院)のもと,「縁(えにし)が結ぶシームレスながん看護」をテーマに掲げた今回。がん医療における最新の知見とともに,多職種による継ぎ目のないがん医療の連携体制や,そのなかで果たすべき看護の役割など,幅広い議論が交わされた。

◆がん対策基本法制定から5年,今後のがん看護はどう在るべきか

松尾英子会長
 がん対策基本法が議員立法として成立してから,丸5年が経過した。その間,がん対策推進基本計画に基づいて国内のがん医療の均てん化やがん予防事業の取り組みは進み,一定の成果がみられている。シンポジウム「がん対策基本法から5年が経過して――今,がん看護に求められるもの」(座長=慶大・小松浩子氏,島根県立大・山下一也氏)では,患者家族や医療ソーシャルワーカー(MSW)などさまざまな視点から,がん対策基本法の制定から現在に至るまでのがん看護の歩みを振り返り,今後の在り方を考察した。

 患者家族の立場から発言したのは,三成楊子氏(島根県がん対策推進協議会患者家族支援情報提供部会委員)。氏の夫である故・三成一琅氏は膵臓がんの闘病生活を送るかたわら,がん対策推進協議会に委員として参加し,がん対策推進基本計画の制定に尽力した。楊子氏は,一琅氏の闘病生活のなかで印象に残った看護師のかかわりを紹介した上で,患者を支援していく上では,「患者にかかわるすべての人々ががっちりとスクラムを組んで進むことが大切」と語った。

 がん対策基本法の施行後,厚労省により組織されたがん対策推進協議会。初代会長を務めた垣添忠生氏(日本対がん協会)は,氏が深くかかわったがん対策推進基本計画策定に至るまでの経緯と5年の成果を報告した。がんによる年齢調整死亡率の減少,がん診療連携拠点病院の増加など,同計画策定後の国内におけるがん対策の取り組みの成果を評価しながらも,「現在は枠組みが整備された状態。今後の課題は質の...

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