第5回医学生・研修医のための腫瘍内科セミナー
2009.09.07
腫瘍内科医に求められるものとは
第5回医学生・研修医のための腫瘍内科セミナー
高まる臓器横断的治療の必要性
8月1日,国立がんセンター中央病院(東京都中央区)にて「医学生・研修医のための腫瘍内科セミナー」が開かれた。このセミナーは,腫瘍内科の役割について学生・研修医により理解を深めてもらい,将来の抗がん剤治療を担う腫瘍内科医を育成する目的で2005年から毎年催されている。第5回となる今回は,北海道から沖縄まで,全国から70名近くの参加があった。
まず国立がんセンター総長の廣橋説雄氏が挨拶。抗がん剤の奏効するがんの種類も着実に増加し,分子標的治療薬など新しいタイプの薬も次々と開発されている。ゆえにそれらを扱う腫瘍内科という分野には大きな期待が寄せられていること,さらにはがん治療の均てん化のために腫瘍内科医の需要が高まっていることを語り,本セミナーで,腫瘍内科へのモチベーションを高めてほしいと締めくくった。
その後,医師,研修医,がん患者など7名が登壇。田村研治氏(国立がんセンター中央病院)は,抗がん剤の適応拡大や治療成績の向上に伴いその専門性も強まり,臓器横断的な治療を行うため腫瘍内科医が必要とされていると話した。氏は,腫瘍内科医にはまずEBMにのっとり患者を全人的に診られること,また分子生物学や薬理学,統計学に精通し,チーム医療の要となることが求められていると意見を述べた。
リスクもデータも明確に提示
![]() |
グループワークにて,医師の話に耳を傾ける |
午後にはケースカンファレンスとグループワークが行われた。グループワークでは参加者は10班に分かれ,医師らとともに議論。ある班では「再発や副作用などのリスクも,臨床試験に基づいたデータもきちんと示した上で,患者に治療法の選択肢を提示できるのが腫瘍内科医」「腫瘍内科医をめざすなら,全身を診るので内科認定医レベルの知識が必要。初期研修でジェネラリスト研修をしっかり行ってから,がん拠点病院などで後期研修をすべき」といった話題が出され,参加者は熱心に質問・意見交換を行っていた。
閉会に際しては国立がんセンター中央病院レジデント専門委員会委員長の飛内賢正氏が挨拶。腫瘍内科を学べる場も増えつつあるが,治療法の発達に伴って高まる患者の要望に応えられるよう,しっかりとトレーニングを積む必要性を強調した。
いま話題の記事
-
事例で学ぶくすりの落とし穴
[第7回] 薬物血中濃度モニタリングのタイミング連載 2021.01.25
-
医学界新聞プラス
[第2回]アセトアミノフェン経口製剤(カロナールⓇ)は 空腹時に服薬することが可能か?
『医薬品情報のひきだし』より連載 2022.08.05
-
寄稿 2016.03.07
-
連載 2010.09.06
-
人工呼吸器の使いかた(2) 初期設定と人工呼吸器モード(大野博司)
連載 2010.11.08
最新の記事
-
医学界新聞プラス
[第1回]BQ11 要介護高齢者の栄養障害(低栄養・過栄養)の危険因子は何か?
『生活期におけるリハビリテーション・栄養・口腔管理の協働に関するケアガイドライン』より2024.07.26
-
2024.07.26
-
取材記事 2024.07.22
-
医学界新聞プラス
[第3回]半月板損傷の術後リハビリテーション 手術後3か月以降まで
『こんなときどうする!? 整形外科術後リハビリテーションのすすめかた 第2集』より連載 2024.07.19
-
スポーツ医学を学生主導で専門的に学ぶ
順天堂大学スポーツ医学塾 特別セミナー開催取材記事 2024.07.19
開く
医学書院IDの登録設定により、
更新通知をメールで受け取れます。