南アフリカ・ICN4年毎大会紀行(井部俊子)
連載
2009.08.24
看護のアジェンダ | |
看護・医療界の“いま”を見つめ直し,読み解き, 未来に向けたアジェンダ(検討課題)を提示します。 | |
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井部俊子 聖路加看護大学学長 |
(前回よりつづく)
2009年6月末から7月にかけて長い旅をした。6月28日夕刻の全日空で4時間45分かけて香港に到着。南アフリカ航空に乗り換えて13時間10分,ヨハネスブルグに到着。2010年サッカー・ワールドカップ開催を前ににぎわう空港で入国し,再び国内線に乗り継いで1時間10分,ダーバンに到着した。ここが今回の旅の目的地である。合計19時間5分飛行機に乗っていたことになる。
南アフリカ共和国の概要
第24回ICN(International Council of Nurses;国際看護師協会)4年毎大会が南アフリカ共和国のダーバンで開催された。南アフリカ共和国は,『地球の歩き方』(ダイヤモンド・ビッグ社,2008年)情報によると,面積は日本の約3.2倍,リンポポ,ムプマランガ,ハウテン,ノースウエスト,フリー・ステート,クワズル・ナタール,北ケープ,西ケープ,東ケープの9つの州に分けられている。人口は約4785万人,首都はプレトリア(行政府),ケープタウン(立法府),ブルームフォンテーン(司法府)の3都市であり,ヨハネスブルグは南アフリカ最大の経済都市であるが首都ではない。アフリカ先住民族79.6%,ヨーロッパ系9.1%,カラード8.9%,インド系2.5%という民族構成であり,キリスト教(オランダ改革教会,メソディスト,アフリカ独立教会など)がおよそ8割を占める。言語は英語,アフリカーンズ,ズールー,コーサ,ソトなど11の公用語がある。通貨はランドであり,1ランドは約14円(成田での両替計算書では14.97円であった)。日本との時差は7時間,サマータイムはない。
南アフリカは南半球にあり,季節は日本と逆転しているため,夏季は10月-3月である。7月は真冬で,平均気温はおよそ15℃。日本にいると「アフリカは暑いところ」という先入観があるが,アフリカの7月は日本の晩秋といったところである。
南アフリカ西部の先住民はコイ・サン系,東部の先住民はバントゥー系だったが,1652年にオランダ人の入植が始まりケープ植民地を造った。やがてオランダ語から生まれた独持の言語を話すアフリカーナーを形成した。その後,イギリスの支配が強まり,1814年ケープタウンがイギリス領となった。19世紀末にアフリカーナーが金とダイヤモンドを発見,その産地の支配権をめぐり...
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