医学界新聞

連載

2009.07.20

【Pictogram】

いのちを見守るコミュニケーションデザイン
――医療看護支援ピクトグラム

■姿勢編(1)
 ヘッドアップ制限 30度/45度/60度

横井郁子(東邦大学医学部看護学科教授)


前回よりつづく

ベッドを上げましょうか? 食べにくそうよ。
頸のためにはこの高さまでなの。でも,ありがとう!

 この姿勢のピクトグラム,微妙な立場に立たされています。当初,自由に角度を書き入れられるようにしようと考えていたのですが,おおよそ,これらの角度は共通だろうと数値を入れました。数値はまあまあなのですが,その角度より上げてはいけないのか下げてはいけないのか,どちらを示しているのか,と問われています。現在の使い方としては「そのベッドの角度に意味あり!」というメッセージが伝われば「○」としよう,と考えています。

 医療看護支援ピクトグラムは,「いのちを見守るコミュニケーションデザイン」の一部です。第三者に見えるところに表示して,通りすがりの見知らぬ人でも「あれ?」と気付き,「大丈夫?」とちょっと心が動くことをめざしています。ですから,勝手にベッドを動かしてはいけないのだなということが伝わることを重視しました。

 医師や看護師は,患者さんの情報をしっかり頭にたたき込んでからベッドサイドに立っているので,表示を頼りにはしません(してはいけませんよ)。患者の皆さま,どうぞご安心を(現場の声を研究会にお寄せいただければ,デザイン修正等の検討をさせていただきます)。

 上の患者さんたちの会話は,電動ベッドが普及する前のものです。ある方が,「医療現場では,ローテクでもいいものがあるんじゃないかな」と言っていたことを最近よく思い出します。ローテクだから声をかけて,手間をかけていた。お互いさまというコミュニケーションがあった,その方はそんなつもりで言ったのではないかもしれませんが,私も最近はローテクでもいいもの,ハイテクのほうがいいものという区別をしながら物を見るようになってきました。

医療看護支援ピクトグラムの報告書ができました。
1冊1000円でご購入できます。お問い合わせは下記まで。

ベッドまわりのサインづくり研究会(横井)
E-mail:care_pict@med.toho-u.ac.jp
電話:03-3762-9881(東邦大医学部看護学科代表)

医療看護支援ピクトグラム
(社団法人日本サインデザイン協会推奨)

つづく

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