活動編(2)車いす移動,ベッド移動(横井郁子)
連載
2009.06.22
【Pictogram】
いのちを見守るコミュニケーションデザイン――医療看護支援ピクトグラム
■活動編(2)車いす移動,ベッド移動
横井郁子(東邦大学医学部看護学科教授)
(前回よりつづく)
ぼくは今日から車いす
となりの田中さんは見守り歩行に昇格
たいへんだって言ってるけど,やっぱりうれしそう
車いすのピクトグラムは公共トイレなどで見かけますが,ここでは「移動」という意味に重きを置いて,新たに作成することとなりました(上)。医療看護支援ピクトグラムが表示されているということは,それに対して何らかの支援が必要だということを意味します。したがって,車いす移動が自立されている方には表示する必要はありません。そのようなルールから,介助者をつけたデザインでもよいのでは,と考えました。これにより,移動している雰囲気が出せたように思います。
「ベッド移動」(下)は,初めはベッドにキャスターをつけただけだったのですが,ベッドそのものの「寝る」という情報のほうが強く,「移動」の意味がなかなか伝わりません。ストレッチャーは一般の方にはわかりにくいのではないかと思ったのですが,デザイナーさんからご提案いただき,写真カタログを見てデザインされました。
“ぼく”が同室の患者さんの移動方法を知っている。「あ,今日から変わるんだ」「うれしそうだな」と何げなく観察している。居心地の良い療養空間にはそんな“ぼく”のまなざしを感じます。これもひとつの見守りかな,と思います。このピクトグラムを含む医療環境デザインを「いのちを見守るコミュニケーションデザイン(Communicative life support design)」とした背景には,そんな思いも含まれています。
医療看護支援ピクトグラムの報告書ができました。 ベッドまわりのサインづくり研究会(横井) 医療看護支援ピクトグラム |
(つづく)
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