医学界新聞

連載

2009.07.06

研修病院見学ルポ
~いい病院のええとこ取りをめざして~

【第3回】倉敷中央病院

水野 篤(聖路加国際病院 内科)


前回からつづく

特色

全国トップレベルの高度な専門科での研修が主体。
総合診療科を創立し,ERの振り返りを開始した
 →今後,研修医の教育体制が充実していく可能性がある。
教育カンファレンスは少ないが,研修医のアメニティがかなり充実している。

Profile
病床数:1135床(一般1125床,第2種感染症10床)
救急車受入れ台数:7257台/年(2008年実績)
救急受入れ人数:6万6142人/年(2008年実績)

Opening
 朝8時,今回見学のすべての手続きを行ってくれた,研修担当である総合診療科の福岡敏雄部長と救急外来で待ち合わせた。福岡先生は,筆者と同僚で名古屋大学出身の研修医の当時の恩師でもあり,そのうわさを以前より聞いてはいたものの,いざ緊張しながら待っていると関西弁のフランクな語り口であり,非常に安心した。

朝のカンファレンス
 早速,救急外来の1室に入る。コンピューターを見ながら前日の日勤帯での救急外来患者について,救急研修中の2年目研修医の振り返りを行った。朝・夕と救急外来受診患者の振り返りを行っているとのことだが,これは昨年より開始したということ。ここでは,4-5人の研修医が電子カルテから興味深い症例を取り上げていた。新規発症の甲状腺機能亢進症や卵巣嚢腫茎捻転,心不全などcommon diseaseがずらっと取り上げられ,なかには原因不明の急性腹症など興味深い症例もあった。

 パソコン環境は聖路加と類似したもので,全パソコンからDynamed,UpToDate,MD Consultを閲覧可能であった。さらに,いろいろな症例をまとめたPowerPointも,院内のどこからでもアクセスできるように中央化している。この点は前回の麻生飯塚病院と同様である。机,ロッカーも完備。アメニティはかなり充実している。研修環境は恵まれていると感じた。

さて,ICUに
 約1時間半ほど振り返りを行った後,ERの見学をさせていただいた。ERの施設は非常にきれいな印象を持ったが,また改装を行いさらに動線をよくするということであった。同院はCCUなどが非常に広いことでも有名であり,設備もすばらしいものがある。引き続き10時よりICUの回診。ICUの患者は基本的には各科の主治医が治療の責任を負っているが,主治医がいない間のカテコラミン投与や呼吸器管理をICUの研修医(後期を含む)が相談しながら行うようである。回診はICUでは一般的な方法で,個々の患者に新たに現れたわずかな変化と今後の方針を報告するスタイル。また,たまたまではあるが筆者の大学時代の同期がICUにおり驚いた。偶然というものはまさにこんなものだろう。ここぞとばかりにいろいろと質問させてもらった。

 彼は消化器内科2年目の後期研修医で,研修は各科で行っているとのこと。話を聞くと,やはりこれまでは教育カンファレンスや救急のreviewなどはなく,個々人の努力で研修を進めるという昔ながらの研修システムであったようだ。ほかの科の様子を聞くと,基本的なチームは3人制。1・2年目研修医+後期研修医(1-3年目)+スタッフということ。それぞれの科を実際に見学しているわけではないので詳細はわからないが,質問による事情聴取ではこのような状態とのこと。

研修医室:アメニティがよいと快適そうである。
各人に机・ロッカーが与えられる。
病院内のアメニティ・施設見学
 午後は病院全体を見学。CCUにはやはり度肝を抜かれた。CCU-S,CCU-Cに分かれており,それぞれが20床以上もある!! 透析室やその他の施設も見たが,やは

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