医学生へのアドバイス(23)(田中和豊)
連載
2009.04.06
連載 臨床医学航海術 第39回 医学生へのアドバイス(23) 田中和豊(済生会福岡総合病院臨床教育部部長) |
(前回よりつづく)
臨床医学は大きな海に例えることができる。その海を航海することは至難の業である。吹きすさぶ嵐,荒れ狂う波,轟く雷……その航路は決して穏やかではない。そしてさらに現在この大海原には大きな変革が起こっている。この連載では,現在この大海原に起こっている変革を解説し,それに対して医学生や研修医はどのような準備をすれば,より安全に臨床医学の大海を航海できるのかを示したい。
前回は「視覚認識力-みる」に関連して,「現象」を「整理する」ことについて述べた。今回は「視覚認識力-みる」の項を終わるにあたって,筆者自身対応に苦慮したある「現象」について述べる。
人間としての基礎的技能 | |
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視覚認識力-みる(6)
人生において常識では理解不可能なさまざまな「現象」を体験することがある。その不可解な「現象」は単に一時的なもので見て見ぬふりをすればやりすごせるかもしれない。しかし,それらの「現象」の中にはどうしても逃げることができずに自分で対処しなければならない不可解な「現象」もある。筆者がどうしても逃げることができずに対処しなければならなかった不可解な「現象」として,子どもの「夜泣き」という「現象」がある。今回はこの「現象」について述べたい。
夜泣き
子どもには夜泣きする子としない子がいる。自分の子どもが夜泣きしない,あるいは,自分に子どもがいないか自分が子育てしなければ,「夜泣き」という「現象」はまったくどうでもよい「現象」である。しかし,いったん自分の子どもが「夜泣き」をしてその子を自分が子守するとしたら,それは自分の睡眠を脅かす大問題となる。
この「夜泣き」という「現象」であるが,実際に医学書で調べてみると,医学書にはほとんど記載されていない。「夜泣き」は通常,新生児から数年間で消失する「現象」である。だから,それが何であれその数年間なんとかすれば最終的にはなくなるのである。したがって,医学書はこの「夜泣き」という「現象」を扱わないの...
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