医学界新聞

2008.06.16



アフリカ医療への貢献に賞賛の声
――第1回野口英世アフリカ賞受賞記念講演会


 第1回野口英世アフリカ賞受賞記念講演会が5月29日,国際連合大学(東京都渋谷区)で行われた。この賞は,2006年7月に小泉純一郎総理(当時)により創設され,アフリカ医療に貢献した者に5年に一度,授与される。同賞には,アフリカにおける優れた医学研究を称える医学研究部門と,アフリカの医療環境・衛生面への貢献を称える医療活動部門があり,受賞者には賞金1億円が贈られる。

 医学研究部門の受賞者はブライアン・グリーンウッド氏(ロンドン大・熱帯医学研究所)で,アフリカにおけるマラリアなどの感染症に対する研究が評価された。グリーンウッド氏は,1890年代からのアフリカにおけるマラリアとの戦いの歴史を振り返り,新薬開発とマラリア菌の耐性化について言及。「今後は,従来の漢方薬主体の治療に加えて,薬の併用,新薬開発も必要だ」と述べ,新たな対策の必要性を訴えた。

 医療活動部門の受賞者はミリアム・ウェレ氏(ケニア国家エイズ対策委員会委員長)で,アフリカの保健と福祉の向上と,コミュニティにおける基礎医療サービスの整備などの功績による受賞だ。ウェレ氏は,マラリアやエイズなどの感染症,不完全な排泄物処理による病原菌の蔓延などの問題が残っていることを挙げ,支援を訴えた。

 受賞の喜び以上に,アフリカの課題への意識が強調される内容であり,両氏の強い意思とそれを称える拍手に満ちた,すばらしい講演会となった。

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