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総合リハビリテーション Vol.53 No.7
2025年 07月号
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特集 独居高齢者の生活維持への支援
人口の高齢化と生活の多様化とともに独居高齢者の割合は増加しており,リハビリテーションの観点からもその特徴を踏まえた対応の重要性が増している.在宅高齢者全般における生活維持の課題に加え,独居者の場合,活動性の低下や閉じこもりが生じやすく,それに伴って疾病の増悪や認知機能の低下などが周囲に把握されないまま進行してしまうリスクが高くなっている.今回の特集では,リハビリテーション専門職が独居高齢者の生活支援にかかわる際に注意すべきポイントや対処法について情報を得るために,関連分野にかかわっている先生方にご寄稿いただいた.
各寄稿の内容はいずれも全体を把握できる総論的な内容と,個別に対応する際の具体的なポイントを含んでおり,さまざまなリハビリテーション専門職にとって情報のアップデートと,実臨床への参考になるものとなっている.本特集が独居高齢者のもつ問題をリハビリテーション分野において幅広く捉え,再認識する機会になれば幸いである.
1.独居高齢者の疾患管理と生活指導 森 清 氏
森清先生には訪問リハビリテーションの視点からサービス提供にあたっての重要なポイントを紹介いただいた.日常生活動作低下が放置された状態にある場合など介入によって改善する場合も多く,また本人の同意を得ることの重要性について述べられてる.独居高齢者にとってサービスを受け入れることは,自分の生活を大きく変えることになることを理解したうえで訪問リハビリテーションが成り立つことを改めて認識させられる.
2.独居高齢者の認知機能に関する課題と対策 湯本晶代 氏ら
湯本晶代先生らには独居高齢者への対応でしばしば問題となる認知機能の低下について,その特徴を紹介いただいた.さらに日常生活動作(activities of daily living:ADL)を維持する観点からさまざまな生活行為における認知機能低下に対してどのような点に留意して対応すべきかを具体的に論じていただいている.各症例のもつADL上の課題やその認知機能を把握することでリハビリテーション治療の計画が明確になり,効果的な介入につながることが理解できる.
3.独居高齢者の身体機能維持の課題と取り組み 前田伸悟 氏
前田伸悟先生には身体機能低下の観点からご寄稿をいただいた.身体機能に働きかける場合には目標となる生活様式や社会参加を明確にすることが望ましいが,そうした要望が同居者のいる高齢者と独居高齢者とでは異なるという視点が紹介されている.またそうした独居高齢者の要望に対応するためには身体的な機能維持のアプローチだけでなく社会的なアプローチが重要であることが論じられている.独居高齢者の個別性を理解して介入計画を立てるうえでの重要な視点である.
4.独居高齢者の見守りの課題と支援技術開発の展望 穴田 聡 氏
穴田聡先生には見守りの課題について,人による見守りと,情報通信技術(information and communications technology:ICT)機器などの支援技術を用いた見守りの両面から,その現状についてご紹介いただいた.それぞれについて複数の選択肢があることを改めて認識させられる.見守り課題についてもその個別性や,地域のリソースを踏まえたうえで,目的を明確にし,複数の手法を組み合わせて実施することが重要と思われる.またリハビリテーション職種がこうした情報について精通していることが期待されていることも気づかされる.
5.過疎地域の独居高齢者の生活支援 杉井たつ子 氏
杉井たつ子先生からは独居高齢者の特徴的環境の一つである過疎地域の課題についてご紹介いただいた.高齢者の生活範囲が狭くなることは一般的傾向だが,交通手段が少ない過疎地域ではそれがさらに深刻化しやすいことなど,寄稿のなかではサポートを考えるうえでの過疎地域の特徴とその対応が紹介されてる.また,サービス提供の軸となる訪問介護や訪問看護をどのように届けるか地域の具体的な取り組みも含めご紹介いただいている.
6.独居高齢者の意思決定支援 石井久仁子 氏・中井寿雄 氏
石井久仁子先生・中井寿雄先生には一連のリハビリテーション治療の導入の土台となる意思決定について,独居高齢者の特徴と課題をご紹介いただいている.独居であるために認知機能低下が進むまで気づかれない状態に進行することで,生活支援のさまざまな場面での意思決定が困難になっている.こうした難しい状況に対し,地域包括支援センタースタッフやケアマネジャーが対応することが多く,負担が増大している現状についても紹介されており,独居高齢者の問題に対し,幅広い枠組みで予防的な観点も含めて取り組んでいく必要のあることが理解できる.
収録内容
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医書.jpにて、収録内容の記事単位で購入することも可能です。
価格については医書.jpをご覧ください。
特集 独居高齢者の生活維持への支援
独居高齢者の疾患管理と生活指導
森 清
独居高齢者の認知機能に関する課題と対策
湯本 晶代,他
独居高齢者の身体機能維持の課題と取り組み
前田 伸悟
独居高齢者の見守りの課題と支援技術開発の展望
穴田 聡
過疎地域の独居高齢者の生活支援
杉井 たつ子
独居高齢者の意思決定支援
石井 久仁子,他
●巻頭言
たかが腰痛,されど腰痛
和田 恵美子
●入門講座
リハビリテーション患者のための薬剤管理③
“潜在的に不適切な”薬剤処方とリハビリテーション
牧 宏樹
●実践講座
車椅子クッションどう選ぶ?⑦
片麻痺者
小原 謙一
嚥下障害の評価の実際④
病院から胃瘻で退院した嚥下障害症例の評価
若杉 葉子
●研究と報告
高次脳機能障害患者に対する外来リハビリテーションにおけるアウトカム尺度の検討──単一施設でのメイヨー・ポートランド適応尺度(MPAI-4)と機能的自立度評価法(FIM)との比較
大山 望,他
●症例報告
肩関節機能障害とリンパ浮腫へ促通反復療法に持続的神経筋電気刺激と振動刺激を併用する併用促通反復療法が有効だった慢性期乳癌術後の1例
黒田 涼介,他
●高齢者と障害者の住まいの選択④
障害者の住まい①──身体障害者の住まい
小田 芳幸
●Sweet Spot 文学に見るリハビリテーション
太宰治の『人間失格』──文学による救いと癒し
高橋 正雄
●Sweet Spot 映画に見るリハビリテーション
「あなたのおみとり」──それは逝く者にとっても残る者にとっても「愛の表現」としての「仕事」なのだ
二通 諭
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