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総合リハビリテーション Vol.53 No.8
2025年 08月号
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今月のハイライト
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特集 呼吸ケアと呼吸リハビリテーションのエビデンス
高齢化により併存疾患として呼吸器疾患をもつなど,他疾患の加療やリハビリテーション治療の実践においても,呼吸ケアの知識や呼吸リハビリテーションの実施が必要とされる臨床場面が増えてきています.そこで本特集は,呼吸ケアとリハビリテーション治療について,疾患横断的にその臨床実践とエビデンスをご解説いただきました.
1.チーム医療のエビデンス 柳田賴英 氏ら
呼吸機能の維持・改善と生活の質(quality of life:QOL)向上のためには,チームが共有型学際的医療チームとして機能することが必要である.チーム医療の実際として,集中治療室および一般病床におけるカンファレンスのあり方や問題点,呼吸ケアチームの現状やそのほかの多面的なチームアプローチについて紹介した.包括的なチーム医療である呼吸リハビリテーションのエビデンスは確立されているが,多くは慢性閉塞性肺疾患を中心に報告されている.近年,間質性肺炎や肺高血圧症,重症患者に対する報告が増加しており,そのほかの疾患に対してもエビデンスの構築が待たれる.
2.非侵襲的呼吸管理のエビデンス 宮原拓哉 氏ら
機械的人工換気療法のうち,人工気道チューブを用いず鼻腔や口腔にマスクやプロングを装着するものが非侵襲的人工呼吸療法である.現在主要な方法となっているのは非侵襲的陽圧換気と高流量鼻カニュラ酸素療法であり,両者の原理と適応,疾患別のエビデンスや推奨度を解説した.特に高流量鼻カニュラ酸素療法は離床や運動時に有用であり,リハビリテーション治療対象患者での使用も増加してきている.それぞれの目的や適応,効果などを理解し,適切かつ最大の効果が得られるデバイスを選択する必要がある.
3.気道クリアランス法のエビデンス 梶 兼太郎 氏ら
気道クリアランス法は,過剰な起動分泌物を除去するために用いられるさまざまな戦略を指し,気管支拡張症などの呼吸器疾患,筋萎縮性側索硬化症など神経筋疾患をはじめ多くの疾患でその重要性が認識されてきている.その方法は,呼吸法,体位ドレナージ,徒手的手法(胸壁叩打法など),呼気陽圧療法,機械装置(高頻度胸壁振動あるいは高頻度胸壁圧迫,肺内パーカッションベンチレータ,機械的排痰補助)など多岐にわたる.それぞれの原理と,適応やガイドラインについて解説した.気道クリアランス法は臨床上重要であるが,一部の疾患を除きエビデンスが十分でなく,今後さらなる研究の蓄積が期待される.
4.「呼吸サルコペニア」と呼吸筋トレーニングのエビデンス 玉木 彰 氏
2023年に日本呼吸ケア・リハビリテーション学会など4学会が合同で作成したポジションペーパーでは,「呼吸サルコペニアとは,呼吸筋力低下と呼吸筋量減少の両方が示唆される病態」と定義されている.呼吸筋力の測定方法,呼吸サルコペニアの診断アルゴリズムを解説した.呼吸筋力が測定されたら,それに応じた負荷をかけた呼吸筋トレーニングを実施する.呼吸筋トレーニング(主にinspiratory muscle training:IMT)には,threshold型が多く使われてきたが,吸気とともに負荷圧が変化するtapered型が開発・臨床で応用され始めている.慢性閉塞性肺疾患でのIMTトレーニングで心肺機能や呼吸困難,生活の質(qualityof life:QOL)や歩行能力の改善が報告されており,他の呼吸器疾患や心疾患でも有効性の報告が見られ始めている.今後統一されたプロトコールでの大規模で質の高い研究の実施が期待される.
5.在宅の呼吸管理のエビデンス 門脇 徹 氏
在宅酸素療法が保険適用になって久しいが,その後在宅での非侵襲的陽圧換気療法,慢性閉塞性肺疾患では高流量鼻カニュラ酸素療法が保険収載され,患者の病態やニーズに応じた治療の選択肢が拡大している.それぞれについて,その適応疾患と基準,エビデンス,導入と管理の実際について解説した.今後,気管支拡張症や間質性肺疾患など非侵襲的陽圧換気療法のエビデンスが十分でない疾患での研究の発展や,在宅高流量鼻カニュラ酸素療法の適応疾患拡大に向けての経験やエビデンスの構築が期待される.
6.緩和ケア期の呼吸ケアとそのエビデンス 島崎寛将 氏
緩和ケア期を迎えた患者において,がん患者・非がん患者とも,呼吸困難感は頻度が高い苦痛症状である.呼吸困難感の増悪は不安などの精神的苦痛をさらに増加させ,日常生活を制限し,生活の質(quality of life:QOL)も低下させるため,精神面や予防的対応なども含めたアプローチが重要になる.呼吸困難感に対しては,酸素療法を検討したり,パニックコントロールや呼吸法・日常生活動作の指導や環境整備を行う.呼吸困難感の誘因はさまざまであり,対応も個々の患者の主観に合わせて有効なものをともに探し提案していくことが重要である.
収録内容
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特集 呼吸ケアと呼吸リハビリテーションのエビデンス
チーム医療のエビデンス
柳田 賴英,他
非侵襲的呼吸管理のエビデンス
宮原 拓哉,他
気道クリアランス法のエビデンス
梶 兼太郎,他
「呼吸サルコペニア」と呼吸筋トレーニングのエビデンス
玉木 彰
在宅の呼吸管理のエビデンス
門脇 徹
緩和ケア期の呼吸ケアとそのエビデンス
島崎 寛将
●巻頭言
昭和の精神病回復途上者から平成の精神障害者へ,そして令和では
四本 かやの
●入門講座
リハビリテーション患者のための薬剤管理④
リハビリテーション患者に対する処方適正化
松本 彩加
●実践講座
嚥下障害の評価の実際⑤
経口摂取がまだ確立していない障害児の嚥下障害の評価
田村 文誉
車椅子クッションどう選ぶ?⑧
小児
中村 詩子
●研究と報告
座位前方リーチ動作における健常者および脳卒中片麻痺者の荷重と姿勢の特性
平野 博文,他
●症例報告
下肢の視床痛に対して能動的な感覚識別訓練が有効であった脳卒中の1症例
藤原 颯太,他
●デジタルアウトリーチの進化が切り拓く新たな可能性①
デジタルアウトリーチ活動の有用性と成功の秘訣
百崎 良
●高齢者と障害者の住まいの選択⑤
障害者の住まい②──知的障害者の住まい
小田 芳幸
●Sweet Spot 文学に見るリハビリテーション
ドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』──治療者としてのゾシマ長老
高橋 正雄
●Sweet Spot 映画に見るリハビリテーション
「劇場版 アナウンサーたちの戦争」──「言葉の力」と戦争の関係を凝視する
二通 諭
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