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意思決定支援ツールOOVL活用入門

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意思決定に関わる「選択肢」、「判断基準(成果)」とその「重みづけ」、「実現可能性」の各要素を1つの表にすることで、総合的に状況を把握・検討できる意思決定支援ツール「OOVL」を紹介し、臨床看護場面や看護管理に活用するための入門書。OOVLの概説と、OOVLが今なぜ必要とされるのかを記した総論、OOVL活用のヒントを盛り込んだ事例の2部構成。事例を通じてOOVLの看護場面での活用が具体的に理解できる。

編集 内橋 恵 / 青山 ヒフミ
発行 2025年01月判型:B5頁:120
ISBN 978-4-260-04937-5
定価 2,200円 (本体2,000円+税)

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この本を手にとってくださった方へ/日本の看護職の皆さんへ(For Japanese Nurses)

この本を手にとってくださった方へ
 この本を手にとってくださり,ありがとうございます。でも,この本を手にとったものの,「OOVLっていったいなんだろう?」と疑問に思っていることでしょう。OOVLは,米国の看護学研究者のCorcoran先生らが,認知症などの患者・家族の意思決定支援を行うために,1990年代後半に開発した支援ツールです。
 日本においては,Corcoran先生が大阪府立看護大学大学院看護学研究科の客員教授として,当時の小島操子学長により招聘され,大学院で紹介されたのが始まりです。Corcoran先生が4年間,その後も共同研究者のNarayan先生が来日され,その授業内容を引き継ぎました。私は先生方がスムーズに教授できるように,全般的なサポーターとして授業に出席,そのおかげでOOVLを深く知ることになりました。
 OOVLは,1枚の表に意思決定の関連要素が展開され,問題とその状況がわかりやすく表示されます。シンプルで汎用性が高く,日本の臨床においても,きっと役に立つツールだと考えました。大学院の授業や大阪府看護協会の看護管理者研修などにおいてOOVLを紹介してきました。「使える」「おもしろい」「思考の整理に役に立つ」というよい反応が得られたのですが,残念ながら大きく拡がることはありませんでした。
 そのような折,甲南女子大学大学院の看護管理学の授業時に,本書籍のもう1人の編者である内橋恵さんが「OOVLをもっと学びたい,個人的に教えてほしい」といわれたのが,この本が誕生するきっかけとなりました。その個人的なマンツーマンの勉強会が,またたくまに3人,5人,10人と参加者が増え,職種も多様となり,さらにコロナ禍でのオンライン勉強会になると,遠方の参加者も増えていきました。
 不思議な経験でした。20年以上,OOVLを伝えてきましたが,思いもよらない形での発展でした。この本は,その勉強会の中で蓄積された知識や事例がもとになって生まれました。臨床の中で判断に迷うとき,複雑な状況の中で頭が混乱したとき,OOVLを使ってみてください。あなたの頭の中で,考えがまとまりはじめることに気がつくでしょう。
 Corcoran先生から,OOVLを学ぼうとする日本の看護職の皆さんへの温かいメッセージがあります。Corcoran先生の原文もあわせてお読みいただけると幸いです。

 青山ヒフミ


日本の看護職の皆さんへ
 日本の看護職向けに意思決定ツールOOVLに関する書籍が出版されることになり,大変うれしく思います。このツールを利用しやすくするための取り組みへの努力を賞賛いたします。私は研究活動において,医療に関する看護職の意思決定に焦点を当ててきました。これは,看護の実践における非常に重要な側面です。意思決定ツールOOVLは,看護職だけでなく,医療に関する重要な意思決定に直面している患者さんやお世話をする家族の皆さんにとっても役に立つものです。
 意思決定に関する文献や研究の多くは,数学的な根拠に基づいており,非常に複雑です。そのため,直接ケアを提供する現場の人たちにはあまり役には立ちませんでした。そこで私は同僚と,意思決定の重要側面を考慮した,特定の意思決定や特定の意思決定者に関連する情報についての「Options(選択肢)」,「Outcomes(成果)」,「Values(価値観)」,そして「Likelihoods(可能性)」からなる非常にシンプルなツールとして,OOVLを開発しました。
 日本の看護職の皆さんがこの本を手軽に手に取ることができるようにと強く願っています。そして,OOVLが実践の場で役に立つことを祈っています。

 Sheila Corcoran-Perry
 ミネソタ大学看護学部名誉教授

 

For Japanese Nurses
 It is a pleasure to support the publication of a book about the OOVL decision-making tool for Japanese nurses. I applaud this effort to make the tool readily available to them. My research efforts consistently focused on nurses’ decision making about health care. It is such an important aspect of nursing practice. Not only can the OOVL decision-making tool be useful to nurses, but also for patients and their family caregivers as they face significant health care decisions.
 Much of the decision-making literature and research has been mathematically based and quite complex. Consequently, it has not been very useful for practitioners who provide direct care. My colleagues and I developed the OOVL as quite a simple tool that takes into account important aspects of decision making, that of the Options, Outcomes, Values, and Likelihoods of information that is relevant to a particular decision and to particular decision makers.
 I am enthusiastic about this book being readily available to Japanese nurses. May they find the OOVL tool to be useful in their practice.

 Sheila Corcoran-Perry
 Professor Emerita
 University of Minnesota School of Nursing

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この本を手にとってくださった方へ
日本の看護職の皆さんへ

第1部 意思決定支援ツールOOVL入門
 第1章 今,なぜOOVLが必要か
  感じ続けてきた倫理的ジレンマ
  OOVLとの出会い
  意思決定とOOVL
  OOVLをごく簡単に
  OOVLを使ってみよう
  今,なぜOOVLが必要なのか
  OOVLの可能性
 第2章 OOVLの作成手順とそのポイント
  オリジナル版とOOVL日本版
  OOVL日本版の作成手順
  OOVL各手順でのポイント
  臨床現場でのOOVLの活用
  カンファレンスや会議でのOOVLの活用

第2部 OOVL活用事例──事例を通して学ぶOOVLの使い方
 Case1 ─オーソドックスな基本事例─
  入院中依存的になった脳卒中の患者の退院先の選択
 Case2 ─選択肢の点差がほぼない事例─
  職種間で意見がわかれた栄養の選択
 Case3 ─先に判断基準(成果)を検討した事例─
  「3ない」の患者への看護
 Case4 ─状態の変化にあわせ2段階で活用した事例─
  膵臓がん末期の「スーパーばあちゃん」の療養の場の選択
 Case5 ─選択肢は1択と思われた状態で活用した事例─
  長期入院が必要な透析の患者の転院先
 Case6 ─検討の中で本質的な課題を見出して再検討を行った事例─
  自宅で暮らすCOPDの患者の看護計画と在宅マネジメント
 Case7 ─OOVL表から発展的なケアへつなげた事例─
  化膿性脊椎炎のGさんの退院先
 Case8 ─管理的事案にOOVLを用いた事例─
  認定看護師研修の受講者の選定

あとがき──OOVLに興味をもってくださった読者の皆様へ
索引

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OOVL表作成用ファイル ダウンロードのご案内

OOVL表を作成できるファイルを下記ボタンからダウンロードしていただけます。配信するファイルには3枚のシートがあります。

  1. 「1)日本版OOVL」は本書17頁の表2と同じ内容です。OOVLをご存知ない人に提示する場合はこちらが便利です。
  2. 「2)OOVL表」は、1)のOOVL表のみ取り出したものです。OOVLをご存知の人と共有する場合や、点数化しない場合はこちらが便利です。
  3. 「3)自動計算」は重みづけと実現可能性をプルダウンメニューで選ぶと自動的に点数が計算されます。
  • OOVL表を臨床においてご利用される場合、OOVLを用いた研究発表や実践報告を学会等で行う場合は許諾申請の必要はありませんが、OOVLについての解説記事等での使用の場合は下記に転載許諾申請が必要です。

(株)医学書院出版総務部著作権係
〒113-8719 東京都文京区本郷1-28-23
TEL:03-3817-5722 FAX:03-3815-6330
E-mail:pa@igaku-shoin.co.jp

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