総合リハビリテーション Vol.52 No.5
2024年 05月号

ISSN 0386-9822
定価 2,640円 (本体2,400円+税)

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特集 回復期リハビリテーション医療を推進するチームアプローチ

 回復期リハビリテーション病棟では,多職種協働にてリハビリテーション治療が集中的に展開されています.診療報酬上,より重症の患者を受け入れることが求められるようになり,患者が抱えるさまざまな課題に多職種からなるチームが横断的に連携して対応することの重要性がますます高まっています.今回の特集では,回復期リハビリテーション病棟におけるチームアプローチの現状と課題に続いて,栄養管理,転倒予防,排泄ケア,退院支援,および就労支援に対応するチームアプローチについてご解説をお願いしました.

現状と課題 畠中 めぐみ 氏ら
 回復期リハビリテーション病棟に関連する診療報酬では専門職配置の充実や多職種で取り組む体制が求められるストラクチャー・プロセスに加えて,近年ではアウトカム評価が重視されている.2022年からは実績指数によるアウトカム測定が要件化されている回復期リハビリテーション病棟では,第三者評価の受審が努力義務化された.このような背景を踏まえ,チームアプローチの実践には実効的プロセスを推進し,教育研修体制を充実させることが望まれる.

栄養管理 木島 綾乃 氏ら
 回復期リハビリテーション病棟での栄養管理の主たる目標は,低栄養と誤嚥性肺炎の予防である.著者らの病棟では,転入時に管理栄養士が栄養スクリーニングを行い,体重減少,低体重,食事摂取量低下,静脈経腸栄養,褥瘡のいずれかを有する症例には栄養アセスメントに基づいた栄養プランを立案し,多職種でミールラウンドを実施している.難渋する症例では栄養管理方針を多職種による栄養カンファレンスにて決定し,個別性の高い介入を行っている.

転倒予防 松浦 大輔 氏ら
 回復期リハビリテーション病棟の転倒率は急性期病院よりも概して高い.転倒は,環境変化を伴う入棟初期や動作能力が向上して日常生活動作に軽介助から監視を要する時期に多いので,入棟初期より身体的機能や精神・心理状況を縦断的に評価し,多職種で決定した自立度や転倒対策を定期的に見直す体制の構築が望ましい.Internet of Things(IoT)デバイスを用いた行動のモニタリングは転倒予防対策の立案に役立つ.歩行訓練時の転倒予防には安全懸架装置が有用である.

排泄ケア 松田 恭平 氏ら
 回復期リハビリテーション病棟入院患者の排泄障害の多くは神経因性である.排尿障害に対しては,問診,身体診察,排尿記録,残尿測定や尿流動体検査などの各種検査を適宜実施し,行動療法と薬物療法を行う.中枢神経疾患・障害による排便障害は神経因性腸機能障害と呼ばれ,脊髄損傷では,損傷高位により反射性大腸と反射消失性大腸の2つのパターンがみられる.これらに対しては basic bowel managementプロブラムを実施する.

退院支援 補永 薫 氏ら
 転帰先の決定や利用制度の手続きなどの退院支援に関するロードマップを作成しておくことが望ましい.転帰先は患者・家族の希望を尊重して決定し,退院後に必要となる医療状況,栄養管理,安全管理,清潔管理,介護保険サービスや障害福祉サービスなどの福祉サービスなどについて多職種協働にて検討する.定期的にカンファレンス・ミーティングを開いて情報を共有し,状況に応じて適宜修正を加え,患者・家族の意向を確認しながら退院支援を進める.

就労支援 菊地 尚久 氏
 職業準備ピラミッドの上位にある対人技能,基本的労働習慣,および職業特性を達成するためには,下位の健康管理や日常生活管理をまず整える必要がある.回復期リハビリテーション医療では,就労に必要な体力の向上に向けた運動療法に加えて,職業前訓練,屋外歩行訓練,公共交通機関利用訓練,自動車運転評価・訓練などを行い,両立支援制度や支援機関,あるいは障害者総合支援法に基づくサービスの利用を含め,多職種協働にてアプローチする.

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医書.jpにて、収録内容の記事単位で購入することも可能です。
価格については医書.jpをご覧ください。

特集 回復期リハビリテーション医療を推進するチームアプローチ

現状と課題
畠中 めぐみ,他

栄養管理
木島 綾乃,他

転倒予防
松浦 大輔,他

排泄ケア
松田 恭平,他

退院支援
補永 薫,他

就労支援
菊地 尚久


●巻頭言
ことばの溝を埋めていく
補永 薫

●入門講座
研究倫理は難しいと思っているあなたに読んでもらいたい 研究倫理の基礎知識①
研究倫理の基礎──被験者保護を中心に
一家 綱邦

●実践講座
パラスポーツの魅力を伝えるには?③
パラアスリートを取り巻く環境から
荒川 英樹

●症例報告
失語症が脳卒中ドライバーのスクリーニング評価日本版(J-SDSA)の成績に及ぼす影響
──J-SDSA成績と実車評価成績が乖離した失語症者3例での検討
川邊 圭太,他

●紹介
認知リハビリテーションアプリ「認知リハあらた」の開発
池野 雅裕,他


●認知症者・家族をさまざまな観点や立場から支えるコミュニケーションスキル⑨
認知症専門医の立場から
大石 智

●リハビリテーション診療に役立つ関節MRIの診かた②
肩関節のMRI
坂口 勝信

●公募連載
勉強会どうしてますか?⑤
施設や職種を超えて勉強会を開催する際の工夫──摂食嚥下EBM研究会
業務に負担少なく,聞きたいこと・知りたいことを,ざっくばらんに共有する研究会
野﨑 園子

●Sweet Spot 文学に見るリハビリテーション
アガサ・クリスティーの『ABC殺人事件』──精神障害者と冤罪
高橋 正雄

●Sweet Spot 映画に見るリハビリテーション
「いつでも夢を」──定時制高校生徒・卒業生への差別を告発した昭和の歌謡映画
二通 諭

●学会印象記
第7回日本リハビリテーション医学会秋季学術集会
花山 耕三

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