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回復期のリハビリテーション医学・医療テキスト

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日本リハビリテーション医学教育推進機構、リハビリテーション医学会に加え、回復期リハビリテーション病棟協会、地域包括ケア病棟協会が監修する回復期のリハビリテーション医学・医療を正しく理解し習得するためのテキストブック。簡潔な文章、理解を深めるカラーイラストにより、機能回復や活動の賦活化が最も期待できる回復期のリハビリテーション医学・医療が一読して理解できる。

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    2022.07.15

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本書第2刷(2022年6月1日発行)において、

Ⅰ.回復期のリハビリテーション医学・医療総論
 ④地域包括ケア病棟の概要

では、2022年診療報酬改定の内容を反映した記載を新たに作成しました。
以下からご参照ください。

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はじめに

 超高齢社会となった日本において,リハビリテーション医学・医療の範囲は大きく広がっている.小児疾患や切断・骨折・脊髄損傷に加え,脳血管障害,運動器(脊椎・脊髄を含む)疾患,循環器・呼吸器・腎臓・内分泌代謝疾患,神経・筋疾患,リウマチ性疾患,摂食嚥下障害,がん,スポーツ外傷・障害などの疾患や障害が積み重なり,さらに周術期の身体機能障害の予防・回復,フレイル,サルコペニア,ロコモティブシンドロームなども加わり,ほぼ全診療科に関係する疾患,障害,病態を扱う領域になっている.しかも,疾患,障害,病態は複合的に絡み合い,その発症や増悪に加齢が関与している場合も少なくない.リハビリテーション医学・医療の役割は急速に高まっている.
 Rehabilitationという言葉が医学的に使用され始めたのはおよそ100年前のことである.第一次世界大戦によって生じた膨大な数の戦傷者を,いかに社会に復帰させるかが大きな課題となった.この課題に応えるべく,米国では陸軍病院にphysical reconstruction and rehabilitationというdivisionが設けられた.これが最初の事例であるとされている.その時,rehabilitationは医学的治療と並行して進めるものであるという位置付けであった.そして,第二次世界大戦でさらにその有用性が認められ,1949年,米国でAmerican board of physical medicine and rehabilitationとして独立し,重要な診療科となった.
 日本にrehabilitationという概念が導入されたのは1950年代で,1963年に日本リハビリテーション医学会が設立された.日本ではphysical medicine and rehabilitationがリハビリテーション医学として総括された.国際リハビリテーション医学会の名称はInternational Society of Physical and Rehabilitation Medicine(ISPRM)であり,physical medicineとrehabilitation medicineがセットになっている.日本ではこの2つを合わせて「リハビリテーション医学」としている.Physical medicineに当たる部分は名称として入っていないが,当然それも含めていることを念頭におくべきである.
 リハビリテーション診療を担うリハビリテーション科は2002年,日本専門医機構において18基本診療科(現在19基本診療科)の1つに認定され,臨床における重要な診療科として位置付けられた.その専門医育成が2018年度からスタートしている.Physical medicineが含まれているリハビリテーション医学をしっかりとバランスよく教育していくことはきわめて重要な事柄になっている.
 このような背景のもと,日本リハビリテーション医学会では2017年度から,リハビリテーション医学について新しい定義を提唱している.すなわち,疾病・外傷で低下した身体・精神機能を回復させ,障害を克服するという従来の解釈のうえに立って,ヒトの営みの基本である「活動」に着目し,その賦活化を図る過程がリハビリテーション医学であるとしている.日常での「活動」としてあげられる,起き上がる,座る,立つ,歩く,手を使う,見る,聞く,話す,考える,衣服を着る,食事をする,排泄する,寝る,などが有機的に組み合わさって,掃除・洗濯・料理・買い物などの家庭での「活動」,就学・就労・余暇などの社会での「活動」につながっていく.ICFにおける参加は社会での「活動」に相当する.
 リハビリテーション医学という学術的な裏付けのもとエビデンスが蓄えられ根拠のある質の高いリハビリテーション医療が実践される.リハビリテーション科では,ヒトの活動に着目し,急性期・回復期・生活期を通して,活動の予後を予測する.これがリハビリテーション診断である.そして,その活動の予後を最良にするのがリハビリテーション治療である.また,リハビリテーション治療と相まって,環境調整や社会的支援の有効利用などの活動を社会的に支援するリハビリテーション支援を行っていく診療科がリハビリテーション科である.
 リハビリテーション医療ではリハビリテーション科医,理学療法士,作業療法士,言語聴覚士,義肢装具士,歯科医,看護師,薬剤師,管理栄養士,公認心理師/臨床心理士,社会福祉士/医療ソーシャルワーカー,介護支援専門員/ケアマネジャー,介護福祉士などがチームを形成し実践しているのが特徴である.そして,近年,急性期,回復期,生活期といったフェーズでもリハビリテーション医療の充実が求められている.回復期はこの中でもリハビリテーション医療が最も効果的に展開され,機能の回復や活動の賦活化が期待できるフェーズである.
 回復期のリハビリテーション医学・医療を正しく理解し修得するためには,適切なテキストが必要である.本書は日本リハビリテーション医学教育推進機構,回復期リハビリテーション病棟協会,地域包括ケア病棟協会,日本リハビリテーション医学会が連携して企画したテキストである.すでに上梓されている,「リハビリテーション医学・医療コアテキスト」「急性期のリハビリテーション医学・医療テキスト」「生活期のリハビリテーション医学・医療テキスト」に続くものであり,それらも参照すれば,回復期のリハビリテーション医学・医療の意義をより一層把握できる.
 編集および執筆は回復期のリハビリテーション医学・医療に精通した先生方に担当いただいた.本書の作成に献身的に携った先生方に深く感謝する.医師・専門職をはじめとしてリハビリテーション医学・医療に関係する方々に是非活用していただきたいテキストである.本書が回復期のリハビリテーション医学・医療の発展と普及に役立つことを心から願っている.

 2020年7月
 一般社団法人 日本リハビリテーション医学教育推進機構 理事長
 公益社団法人 日本リハビリテーション医学会 理事長
 久保 俊一
 一般社団法人 日本リハビリテーション医学教育推進機構 理事
 公益社団法人 日本リハビリテーション医学会 特任理事
 三上 靖夫

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I.回復期のリハビリテーション医学・医療総論
 1 リハビリテーション医学・医療の概要
  1 リハビリテーション医学・医療の意義─活動を育む医学─
  2 リハビリテーション診療─診断・治療・支援─
  3 活動を育むとは
  4 回復期のリハビリテーション医学・医療の考え方
 2 回復期のリハビリテーション医学・医療の実際
  1 回復期のリハビリテーション医学・医療の意義
  2 回復期のリハビリテーション医療の実際
 3 回復期リハビリテーション病棟の概要
  1 回復期リハビリテーション病棟の現状
  2 回復期リハビリテーション病棟協会の報告書から
 4 地域包括ケア病棟の概要
  1 地域包括ケア病棟の歴史(診療報酬の変遷)
  2 地域包括ケア病棟の対象患者と施設基準
  3 地域包括ケア病棟の運用の実際とあり方
 5 急性期と生活期のリハビリテーション医学・医療との連携
  1 急性期の病棟との連携
  2 転棟に際する重要事項
  3 生活期医療との連携
 6 回復期のリハビリテーションチーム医療
  1 回復期のリハビリテーション医療におけるチーム医療の意義
  2 回復期の病棟におけるリハビリテーションチーム医療の概要
  3 回復期のリハビリテーションチーム医療の実際
 7 回復期におけるリハビリテーション科医の役割
  1 回復期のリハビリテーション医療における基礎疾患や合併症の診療
  2 障害と活動賦活化のための診療
  3 リハビリテーション医療チームのマネジメント
  4 診療体制の維持・向上
 8 回復期での関連専門職の役割
  1 回復期でのリハビリテーション医療チームによるアプローチ
  2 関連専門職の役割
  3 回復期の病棟での多職種チームアプローチ(日常業務)

II.回復期のリハビリテーション医療・診療の進め方
 1 回復期のリハビリテーション診断
  1 身体診察法の実際
  2 疾患に適した評価法
 2 回復期のリハビリテーション治療―リハビリテーション処方―
  1 回復期の主なリハビリテーション治療法
  2 回復期のリハビリテーション治療におけるリハビリテーション処方
 3 カンファレンス
  1 回復期のリハビリテーション医療・診療におけるカンファレンス
  2 初回カンファレンス
  3 定期カンファレンス
  4 退院前カンファレンス
  5 カンファレンスのポイント
 4 回復期のリハビリテーション医療におけるリスク管理
  1 訓練の中止基準
  2 感染対策
  3 インシデント対策(転倒転落対策を含む)
  4 急変時・アクシデントの対応
 5 リハビリテーション支援
  1 介護保険・障害者総合支援法の利用
  2 家屋評価・住宅(家屋)改修と福祉用具導入
  3 就労・就学のためのリハビリテーション医療
  4 自動車運転再開
 6 施設入所の実際
  1 回復期リハビリテーション病棟からの転帰先になる施設
  2 療養病床
  3 介護医療院
  4 介護老人保健施設(老健)
  5 介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)
  6 サービス付高齢者住宅
  7 有料老人ホーム
  8 入所手続きの概要

III.回復期のリハビリテーション診療の実際
 1 脳血管障害・頭部外傷
  1 概要
  2 運動障害に対するリハビリテーション診療の実際
  3 ADL障害に対するリハビリテーション診療の実際
  4 摂食嚥下障害に対するリハビリテーション診療の実際
  5 高次脳機能障害(失語,失行,半側空間無視を含む)に対する
      リハビリテーション診療の実際
 2 脊髄損傷
  1 概要
  2 運動障害に対するリハビリテーション診療の実際
  3 ADL障害に対するリハビリテーション診療の実際
 3 脊椎・骨盤の外傷
  1 概要
  2 リハビリテーション診療の実際
 4 脊椎の疾患
  1 概要
  2 頚椎疾患に対するリハビリテーション診療の実際
  3 胸椎疾患に対するリハビリテーション診療の実際
  4 腰椎疾患に対するリハビリテーション診療の実際
 5 変形性股関節症・変形性膝関節症
  1 概要
  2 リハビリテーション診療の実際
 6 下肢骨折(大腿骨近位部骨折を含む)
  1 概要
  2 リハビリテーション診療の実際
 7 四肢切断
  1 概要
  2 リハビリテーション診療の実際
 8 不動による合併症(廃用症候群)
  1 概要
  2 リハビリテーション診療の実際

IV.回復期のリハビリテーション診療でみられる
    併存疾患・合併症への対応(診断と治療)
 1 心疾患(心房細動,慢性心不全など),高血圧症
  1 概要
  2 診断
  3 治療の実際
 2 糖尿病,脂質異常症,肥満症など
  1 概要
  2 診断
  3 治療の実際
 3 起立性低血圧
  1 概要
  2 診断
  3 治療の実際
 4 誤嚥性肺炎
  1 概要
  2 診断
  3 治療の実際
 5 尿路感染症
  1 概要
  2 診断
  3 治療の実際
 6 排尿障害
  1 概要
  2 診断
  3 治療の実際
 7 排便障害
  1 概要
  2 診断
  3 治療の実際
 8 深部静脈血栓症
  1 概要
  2 診断
  3 治療の実際
 9 褥瘡
  1 概要
  2 診断
  3 治療の実際
 10 疼痛・しびれ
  1 概要
  2 診断
  3 治療の実際
 11 痙縮
  1 概要
  2 診断
  3 治療の実際
 12 認知症(不穏,問題行動を含む)
  1 概要
  2 診断
  3 治療の実際
 13 うつ/アパシー
  1 概要
  2 診断
  3 治療の実際
 14 睡眠時無呼吸症候群
  1 概要
  2 診断
  3 治療の実際
 15 低栄養
  1 概要
  2 診断
  3 治療の実際
 16 サルコペニア・フレイル
  1 概要
  2 診断
  3 治療の実際
 17 心理的サポート
  1 概要
  2 サポートのポイント

便覧 回復期のリハビリテーション医学・医療便覧
 1 用語解説
 2 回復期のリハビリテーション診療における評価法
 3 回復期のリハビリテーション診療に役立つ漢方薬の知識
 4 主なADL評価法
 5 関節可動域表示ならびに測定法

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本書の記述の正確性につきましては最善の努力を払っておりますが、この度弊社の責任におきまして、下記のような誤りがございました。お詫び申し上げますとともに訂正させていただきます。

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