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- 総合リハビリテーション Vol.52 No.6
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今月のハイライト
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特集 NICUからのリハビリテーション
現在本邦は,人口減少のなかで少子高齢社会にある.総出生数の減少とともに早産児,低出生体重児の出生数が減少しているにもかかわらず,その全出生数に占める割合は増加か,横ばいという傾向にある.このような状況下では,障害を持つ子供の割合が必然的に増えるため,リハビリテーションのニーズも高まることになる.こうした児に対しては,新生児集中治療室(neonatal intensive care unit:NICU)の段階から将来の慢性疾患や障害,特性を見据えたリハビリテーションを実施する必要がある.本特集では,NICUから取り組むべきリハビリテーションについて,各分野のエキスパートにご解説をお願いした.
ハイリスク児の臨床的疫学 平野 慎也 氏
一般的にハイリスクとされる児は,成長・発達の過程において何らかの問題が生じる可能性を持っており,家族を含めて支援を行う必要がある.本稿では,本邦における出生のトレンドと,ハイリスク児の予後などについて解説している.
成育環境が将来の疾病リスクに与える影響──DOHaD学説とは 中野 有也 氏ら
周産期医療の向上に伴い,昨今はより未熟な児を救命できるようになった.そのような背景のなか,長期予後に対する胎児期や生後早期の成育環境の重要性を提唱したdevelop-mental origins of health and disease(DOHaD)学説が知られるようになり,注目を集めている.本稿では,リハビリテーション専門職が知っておくべき DOHaD学説に関する基礎知識と臨床に役立つ最新トピックスを紹介している.
NICUにおける理学療法の役割 守岡 義紀 氏ら
児に応じたよりよい発達を獲得するためには,新生児集中治療室(neonatal intensive care unit:NICU)入院時からの親と児を含めた予防的な介入,退院後のホームプログラム,フォローアップ体制を明記したガイドラインの作成が必要である.さらには,医療機関にとどまらず,教育や福祉も含めた関連施設のスタッフとの双方向かつシームレスな連携体制の構築が重要である.
NICUにおける作業療法の役割 行 功一郎 氏ら
筆者は新生児集中治療室(neonatal intensive care unit:NICU)の作業療法にとって重要なこととして,次の2点を挙げている.1点目は,NICUにおける親と児とのかかわりを共作業(Co.occupation)と捉えることである.NICUという環境のなかで,子育てを児と両親の共作業と捉えて,作業療法士が早期から児と両親の愛着支援を行う必要がある.2点目は,児に合わせた環境であそびの提供を開拓していくことである.
NICUにおけるこころのケア──心理士の視点から 池田 夏葉 氏
筆者の所属する東京都立大塚病院では,母体・胎児集中治療管理室(maternal fetal intensive care unit:MFICU)を有しており,周産期担当の心理士が定期的にMFICU・産科病棟に訪問し,児が新生児集中治療室(neonatal intensive care unit:NICU)・新生児回復室に入院した場合はそのまま新生児科病棟でも担当するなど切れ目ない支援を心がけている.心理士自身の“こころ”を使いながらNICUに「いる」ことについて筆者の考えを述べている.
NICUにおけるファミリーセンタードケア 豊島 勝昭 氏
筆者は超低出生体重児の新生児集中治療室(neonatal intensive care unit:NICU)退院後のフォローアップ外来を担当するなかで,早産児医療において長らく課題であった脳性運動麻痺や未熟児網膜症による視力障害は防げるようになった.一方で,退院後の“障害感”に悩む児とその家族にかかわる経験を経て,NICUにおけるファミリーセンタードケア(family centeredcare)が,NICU退院後に続く早産児の発達支援や生活支援において重要な概念であると考えるようになった.
ハイリスク児のフォローアップ 石井 のぞみ 氏
極低出生体重児を対象としたフォローアッププログラムは,1990年代に新生児集中治療室
(neonatal intensive care unit:NICU)退院後のハイリスク児支援ならびに予後を多施設共同研究し周産期医療にフィードバックすることを目的として創設されたハイリスク児フォローアップ研究会で原形が作成された.このプログラムは2000年代以降,本邦唯一の極低出生体重児データベースを管理運営する新生児臨床研究ネットワークにおいても広く使用されてきた.
収録内容
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特集 NICUからのリハビリテーション
ハイリスク児の臨床的疫学
平野 慎也
成育環境が将来の疾病リスクに与える影響──DOHaD学説とは
中野 有也,他
NICUにおける理学療法の役割
守岡 義紀,他
NICUにおける作業療法の役割
行 功一郎,他
NICUにおけるこころのケア──心理士の視点から
池田 夏葉
NICUにおけるファミリーセンタードケア
豊島 勝昭
ハイリスク児のフォローアップ
石井 のぞみ
●巻頭言
卒寿の父に思う
吉橋 学
●エキスパートに聞いてみよう!
私たちの障害者権利条約
藤井 克徳,他
●入門講座
研究倫理は難しいと思っているあなたに読んでもらいたい 研究倫理の基礎知識②
「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」の理解に向けて──基本事項と臨床情報の取扱い
松井 健志
●実践講座
パラスポーツの魅力を伝えるには?④
学齢障害児に対するパラスポーツ導入──障害者スポーツ文化センター横浜ラポールの取り組み
北川 智子
●研究と報告
長期安静臥床が必要な化膿性脊椎炎保存治療患者の在院日数に関する因子の分析
本村 聖也,他
●紹介
越境学習効果を期待するOJT研修の工夫
喜多 一馬,他
●認知症者・家族をさまざまな観点や立場から支えるコミュニケーションスキル⑩
療養支援の立場から
田中 博子
●リハビリテーション診療に役立つ関節MRIの診かた③
肘・手関節のMRI
松浦 哲也
●公募連載 勉強会どうしてますか?⑥
地域における勉強会の立ち上げとその運営
木本 龍,他
●Sweet Spot 文学に見るリハビリテーション
エミリー・ブロンテの『嵐が丘』──ケア的人間としてのネリー
高橋 正雄
●Sweet Spot 映画に見るリハビリテーション
「PERFECT DAYS」──ダウン症の少年を登場させていることの意味を考える
二通 諭
●学会報告
第55回 中国四国リハビリテーション医学研究会
松浦 哲也
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