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第3356号 2020年1月27日


Medical Library 書評・新刊案内


乳幼児健診マニュアル 第6版

福岡地区小児科医会 乳幼児保健委員会 編

《評者》濵田 裕子(九大大学院准教授・小児看護学)

単なるマニュアル本ではない,子育て支援の在り方を示した良書

 本書を手にし,そのタイトルから健診のノウハウを伝えるマニュアル本だろうと思いながら読み進めると,最初の「健診の心構え」で,私の思い込みは簡単に覆された。故・松本壽通先生は「健診は医療の延長ではありません」,また「子どもの心の問題や育児支援なども考慮に入れた健診が求められています」と冒頭で述べており,乳幼児健診は子育て支援の一環であるとあらためてとらえ直すこととなった。

 今や子育て支援は,社会全体で取り組むべき課題であり,国は2001年から取り組んできた「健やか親子21」の最終評価を経て,2015年度から第2次計画をスタートさせている。「健やか親子21(第2次)」の3つの基盤課題の1つは,以前から続く「切れ目ない妊産婦・乳幼児への保健対策」であり,それらを下支えする新たな課題として「子どもの健やかな成長を見守り育む地域づくり」を掲げている。本書は「健やか親子21」が策定される以前から,乳幼児保健と子育て支援の必要性を見据えて,小児科医師のみならず保健や医療にかかわるスタッフを視野にその重要性を説いている。

 本書は主に3つのパートより構成されている。最初に,冒頭で述べた乳幼児健診とその実際について,健診を行うに当たっての手順や見方などが新人の医師でも対応できるように丁寧に書かれている。次に,1か月児から5歳児健診までを各月齢別に,健診の仕方をわかりやすく説明している。発達段階ごとに基本的な発達の目安(特徴)と「かいせつ」を示し,「診察の手順」を図表やイラストを用いて説明し,さらに「保健指導の要点」と「この時期に多い質問」をまとめている。特に「保健指導の要点」や「この時期に多い質問」は医師のみならず,保健指導や育児支援に当たる保健師や看護師,助産師にとっても必見である。

 さらに「育児相談・育児支援」のパートがあり,「乳幼児の生活習慣」や「乳幼児期の栄養指導」,「事故防止」,「食物アレルギー」や「スキンケア」,「禁煙指導」,「子どもの歯の衛生」,「予防接種」,「子どもの虐待への気づきと支援」や「母親のメンタルヘルスと育児支援」など,現代の乳幼児を取り巻く健康問題やそれらへの対応が,簡潔にわかりやすくまとめられている。また,各執筆陣による15個のコラムは育児に関する話題から知っておきたい知識まで,読み物としても面白いものとなっている。本書は医師に限らず保健師や看護師,助産師,コメディカルにも,子どものとらえ方や対応のヒントが詰まった役立つ内容といえる。

 最後に,本書は福岡の地域で小児にかかわる医師らが1992年の初版からこの第6版まで現場感覚を大切に,改訂を重ねていることに敬意を表したい。医師自らが,子どもと家族に伴走する姿勢が本書の根っこを支え,単なるマニュアル本ではない,子育て支援の在り方を示してくれている。

B5・頁168 定価:本体3,200円+税 医学書院
ISBN978-4-260-03935-2

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