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第2915号 2011年2月7日


座談会

リウマチ・膠原病診療の今

岡田正人氏(聖路加国際病院 アレルギー・膠原病科)=司会
高田和生氏(東京医科歯科大学医歯学融合教育 支援センター特任准教授)
津田篤太郎氏(JR東京総合病院 リウマチ・膠原病科)
長谷川詠子氏(虎の門病院腎センター内科)


 従来"難病"と言われてきたリウマチ・膠原病は,新しい診断法や治療法の開発により,寛解維持が望めるようになりました。また,「全身を診られる」「診断をつけるまでの過程が謎解きのようで面白い」などの理由から,本領域に興味を持つ若手医師も増えています。一方で,多様な病態を持ち,慢性疾患であるリウマチ・膠原病診療においては,診断の際,あるいは患者さんの対応などで苦慮する場面もあるのではないでしょうか。そこで本紙では,若手医師のロールモデルとして本領域で活躍する四氏に,さらなるステップアップを図るためのコツをお話しいただきました。


岡田 本日は,リウマチ・膠原病診療の醍醐味を余すところなくお伝えしたいと思っています。まず,皆さんが感じている本領域の魅力をお教えいただけますか。

高田 リウマチ・膠原病は,同じ疾患でも多様な表現形をとり得るので,医師にとっては診療が常に新鮮に感じられます。また,若い患者さんが多く社会復帰に意欲的な方も多いですから,双方が前向きな姿勢でチームとなって治療に取り組める点が魅力です。そしてどんな難治例・重症例でも内科的な治療が主ですから,最後まで主治医でいられます。

 さらに,がんなどと異なり完全勝利を達成し得なくとも,少量の免疫抑制薬による寛解維持が現実的なゴールとなるので,多くのケースで患者さん,医療者双方が治療の手応えを実感できます。そして,免疫学におけるさまざまな謎が遺伝学や分子細胞生物学の発展により日進月歩で解明されつつあり,それがすぐに診断や治療に反映されることも大きな魅力です。

津田 確かに,数ある慢性疾患のなかで,膠原病のように薬剤でうまくコントロールでき,場合によっては服薬を中止するところまで改善する疾患は少ないです。

長谷川 症状をコントロールして,患者さんがいかに毎日快適に過ごせるかを一緒に考えながら治療していける点は,内科医にとって大きな醍醐味だと私も思います。

岡田 高田先生がおっしゃるように若い患者さんも多いですから,進学,就職,結婚,出産など,患者さんの人生を共に歩んでいけますね。ただ,まだ治療が確立されていない部分もあり,主治医によって治療成績が異なるのも事実です。40年前には悪性腫瘍並みに予後の悪い疾患でしたから,正しい診断に基づく適切な治療を行わなければ重篤な経過をたどることはきちんと認識しておくべきでしょう。

早期診断・早期治療へ

岡田 リウマチ・膠原病領域では,近年新しい治療法が開発されています。特に関節リウマチ(以下,RA)は,1998年に生物学的製剤が開発されるなど,診療内容が大きく変わりました。

津田 さまざまな効果的な治療法が生み出されるなかで,早期診断・早期治療が叫ばれるようになってきたというのがこの10年ほどの状況です。現在は5つの生物学的製剤が承認されており,「使い分けの時代」とまで言われるようになりました。さらにインフリキシマブに関しては,発病早期から積極的に使用して寛解をめざすことにより,寛解導入後は治療を中止できることも明らかになってきていますから,今後は投薬をいかに中止していくかという議論が進むと考えられます。

高田 2010年には23年ぶりの新しい分類基準が,米国リウマチ学会と欧州リウマチ連盟の共同作成により発表されました。従来主に用いられてきた米国リウマチ学会による分類基準(1987年)は,"発症後しばらく経過し確立された病像を呈した典型的なRAを他の関節炎疾患と区別する"ことを目的としたものでした。しかしこの十数年で,RAにおける関節破壊が発症後早期に急速に進行すること,そして早期に効果的な治療を導入することにより長期的な関節予後を改善し得ることがわかりました。そのような流れのなかで,治療しなければ関節破壊が進む恐れのある患者を早く同定する必要性が高まり,新たな分類基準が作成されたのです。

長谷川 新しい分類基準では"RAと類似する他疾患を除外する"ことが出発点になっています。ですから,今後その除外診断の部分を強化していかなければいけないと感じています。

岡田 津田先生は,RAの患者さんをどのように鑑別診断していますか。

津田 例えば,50代男性の単関節炎であればまずは痛風を疑いますが,20-30代の女性で関節が1つ,2つ腫れているような場合には,ヒトパルボウイルスB19や肝炎などウイルス感染を視野に入れます。さらに,高齢者の場合には悪性腫瘍を疑う必要がありますし,皮疹,口内炎,続発性の発熱などがあれば膠原病を視野に入れ,抗核抗体を取るなどして鑑別しています。

 確定診断は,RAが疑わしいと判断した段階でX線検査を行うのが一般的ですが,骨びらんが出ていない初期の段階では,エコーやMRIによる検査の有用性も明らかになってきています。

高田 欧州における早期関節炎のコホート研究のデータなどでは,初期評価にて診断が未確定であった炎症性関節炎患者の経過を追っていくと,最終的にRA以外の診断が下ったものとして,痛風やSLE,乾癬性関節炎,線維筋痛症などがあるようです(註1)。確かにこれらの疾患はある程度経過を追ってみて初めて診断に至る病像を呈する場合があります。ただ,線維筋痛症は関節所見が異なるので,病歴および診察にて関節炎の有無をしっかり判別できなければいけません。関節炎を診たことがあれば判別はできるはずですが,卒前および初期臨床研修中に関節炎を診る機会はなかなかありません。ですから,すべての医師が重要な所見や疾患に触れられる機会を系統的に創出するよう,教育の在り方を検討していく必要があります。

岡田 確かに,私たち内科医は関節の触り方を習う機会がなかなかないですね。診断力を向上させるために私がお勧めしたいのは,"正常を触る"ということです。正常がわからなければ,ちょっとした異常には気付けないですから,ぜひ正常な状態に触れる機会をなるべく多く持っていただきたいです。

「この患者さん,膠原病?」と疑ったら

岡田 リウマチ・膠原病領域は,まだまだ専門医が不足しており,専門診療科を持たない医療機関も少なくありません。疾患ごとの患者数も限られており,診療経験を積むのが難しい領域でもあります。ここからは膠原病全体に目を向け,実際に膠原病が疑われる患者さんに出会ったときに留意すべき点について,ピットフォールも含めて議論したいと思います。まず,病歴聴取ではどのような点に気を付けていますか。

長谷川 膠原病の症状は非常に多様で,患者さん自身はあまり気にしていないけれど診断の鍵となるような症状も多いので,こちらから積極的に問診を取るように心がけています。特に,「指先が変色している」「目が乾きやすい」「皮疹がある」などの症状は,具体的に尋ねていくことが重要だと思います。

津田 私はリウマチ・膠原病科について「熱と痛みの科です」と説明することが多いのですが,診療の際には発熱と痛みの有無を必ず尋ねます。さらに,長谷川先生が挙げた症状に加え,口内炎の有無もポイントだと思います。

岡田 患者さん1人当たりの外来診療の時間は非常に限られていますから,既往歴,旅行歴,現病歴,さらに関節痛,皮疹,熱の有無など,診療に必ず必要な情報については,事前に問診票に記入してもらうのも効率的な方法だと思います(註2)。

 次に,身体所見はいかがですか。

長谷川 身体所見は全身にわたるので,外来ですべてを網羅するのは難しいですが,基本的には,肺音,心音,お腹の所見,関節痛の有無を診ます。さらに時間に余裕があれば,脚やお腹,背中などに皮疹がないかをみています。

津田 患者さんは皮疹を軽く考えていることが多く,「そんなものが診断の手がかりになるとは思わなかった」と言われることが多いです。特に背中にできた皮疹は患者さんが気付きにくいので,聴診する際に確認するとよいのではないでしょうか。

 また,不明熱で来院した患者さんの場合は,若い女性であれば高安動脈炎,中高年であれば結節性多発動脈炎,60歳以上であれば側頭動脈炎を必ず疑うようにしています。

岡田 高安動脈炎,結節性多発動脈炎,側頭動脈炎は中・大動脈に障害が起きるため,小血管炎のように虚血や出血等の症状も出ず,炎症所見はあっても特異的な身体所見や検査がないので,見逃しがちかもしれません。「何も所見がない膠原病が3つある」と覚えておくといいですね。

高田 卒前教育では症候学を学ぶ機会が限られているので,研修医はまず不明熱や関節痛などの鑑別診断の経験を積んで,コツをつかむ必要がありますね。ある程度慣れてくると,長谷川先生,津田先生が挙げたような些細な所見を意識できるようになると思います。ただ,やはりそのような所見に目を向けるようになるには,症状を来し得る疾患,鑑別すべき疾患を,ある程度網羅的に把握しておく必要があります。

岡田 その通りです。私自身が身体所見で重視しているのは,膠原病を抗核抗体関連疾患,血清反応陰性脊椎炎,血管炎,古典的な膠原病の4つに分類し,考えていくことです。

 例えば,抗核抗体関連疾患のSLE,全身性硬化症,皮膚筋炎では,爪上皮の出血など毛細血管異常が見られることが多いので,注意して観察する必要があります。その他の膠原病にも言えることですが,身体所見で爪を見ることは重要な鍵となりますね。脊椎関節炎に属する疾患として反応性関節炎,乾癬性関節炎,炎症性腸疾患関連などが含まれますが,通常の身体所見に加え付着部炎がないか確認するとよいと思います。

偽陰性,偽陽性――検査の限界

岡田 では,検査の際にはどのような点に留意していますか。

津田 膠原病の専門診療科では,「抗核抗体が陽性」「CRPが高い」など,検査異常があった場合に紹介される場合が多いので,私たちもその異常を切り口に絞っていくことが多いです。しかし,抗核抗体などの自己抗体が陰性で,炎症反応もあまり高値にならない膠原病も少なくなく,診断にたどり着くのが遅れてしまうこともあるようです。

岡田 通常の検査から疑うことも重要ですね。例えば,血球数が低い場合には膠原病が疑われますし,APTTが延びている場合やESRは高いけれどCRPはさほど高くない場合はSLEを疑う。さらに尿検査では,少しでも怪しければタンパク/クレアチニン比を測定します。

高田 必要な検査を知っておくと同時に,検査の限界をある程度認識しておくことも重要ではないでしょうか。私も学生のころは「自己免疫疾患=抗体」と思っていましたが,病態に大きく関与している抗体もあれば,炎症の副産物にすぎない抗体もあります。だからこそ,偽陽性も偽陰性もあるのです。診断過程で抗体にこだわりすぎ,偽陽性や偽陰性の可能性を軽視してしまうと,適切な鑑別につながらず,混乱してしまいます。

岡田 おっしゃる通り,検査の際には偽陽性,偽陰性の可能性を念頭に置く必要があります。問題になるのは「膠原病を疑ったけれど,抗核抗体と抗好中球細胞質抗体が陰性だったから否定した」というような例でしょうか。

高田 そうですね。また,経過観察も立派な診断的評価ですから,初期の段階で診断がつかなくても,病気の進展や新たな徴候の出現に注意しながら適切な間隔で経過を追い,さらなる診断的考察を進めることが大切です。

津田 さまざまな情報を集めてもどうしても診断がつかない場合もありますから,その際に相談できる人を確保しておくことも1つの方法です。

岡田 現在「リウマチ・膠原病メーリングリスト」(3)という500人規模のメーリングリストがあり,ここでは活発な情報交換が行われています。年に数回開催されるセミナーには,さまざまな場でリウマチ・膠原病診療に携わっている方が参加しているので,このような場を通して関係を深めていただければと思います。

患者との信頼関係を築く

岡田 リウマチ・膠原病は慢性疾患ですから,患者さんに安心して治療を受けてもらうには心理・社会的支援も不可欠ですね。

長谷川 支援の仕方は,患者さんの年齢層によって変わってくるのではないかと思います。例えば,若い女性の場合はステロイドの服薬を自分で中止し,悪化するパターンが非常に多いので,病状をしっかり説明して理解してもらい,信頼関係を構築できるように心がけています。一方,高齢の方は疾患の進行によりADLが低下することがあるので,患者さんのニーズに合わせて治療法を選んでいく,あるいはどのような社会資源が必要なのかを相談する時間をとるようにしています。

津田 私が着目しているのは,急性期と慢性期とに分けた支援です。初期の段階では,患者さんは「難病にかかってしまった」と落ち込むことが多いので,今後の見通しも含め説明することが大事だと思います。一方,慢性期の患者さんに対しては,多職種の力を上手に借りて,社会資源の活用などを検討していくことが大切になってきます。

高田 治療に関する意思決定においては,ステロイドや免疫抑制剤は副作用のイメージも強いので,患者さんは客観的な判断を下せなくなりがちです。ですから,治療しなかったことによる短期的・長期的なインパクトも理解していただいた上で患者さんと一緒に考え,患者さんが意思決定に参加できる体制を整える必要があります。そのためにはやはり患者さんとの信頼関係が不可欠ですから,「患者さんのサポーターとして,一緒に治療をしていく」という姿勢を見せることが重要です。私は何かあればすぐに連絡できるように患者さんに自分のメールアドレスを渡していますが,いつでも質問できる環境があるというだけでも安心される方が多いです。

岡田 "患者さんへの丁寧な説明"が1つの鍵となっていますね。私が患者さんへ説明する際にはまず「早期に見つかってよかったですね」と話します。次に,治療をしなければ重い病気になり得ることを話し,最後に「このあたりまでよくなる可能性が高いですよ」と治療のゴールを提示する。いわゆるPNP(positive-negative-positive)を心がけています。

 また,信頼関係という観点で若い医師にお勧めしたいのは,自分の考えを述べる前にきちんと患者さんの身体に触れ,触診と聴診をすることです。診察した上でデータも含めた話をすると,患者さんも「きちんと診てもらっている」と感じます。これは外来診療のコツですね。

■キャリアデザインをどう描くか

岡田 話題を変え,キャリアデザインについて伺いたいと思います。先ほどもお話ししたように,専門診療科がある病院は限られているので,周囲にロールモデルになるような医師がなかなかいないという状況もあるようです。先生方は,ご自身のキャリアデザインをどのように描いてこられましたか。

津田 私は,初期臨床研修を行った天理よろづ相談所病院で「全身を診る医師になりなさい」と教えられて育ったこともあり,リウマチ・膠原病科であれば全身を診ることができるのではないかと,選択しました。

岡田 東洋医学を学んだというのもユニークですよね。

津田 東洋医学を本格的に学びたいと思ったきっかけは,診療に当たるなかで,患者さんの不調の訴えにうまく対応できない部分が見えてきたことでした。北里大東洋医学総合研究所に弟子入りしたのは卒後5年目ですが,実は初期研修を修了した時点で一度門を叩いたことがありました。しかしそのときには,「何でも東洋医学で治せるというのは一種の傲慢な考えなので,きちんと西洋医学を勉強してから来なさい」と諭されたんです。1人の患者さんを2つの視点から診ることができるのは,私のキャリアのなかで強みになっているので,非常によいアドバイスをいただいたと思っています。

岡田 東洋医学を学んだことで,どのようなメリットが生まれましたか。

津田 私は更年期の関節痛の方を多く診ているのですが,精神的なストレスを抱えている方も少なくありません。ですから,患者さんの訴えを気のせいだと退けずに東洋医学的な説明をして漢方薬を出すと,症状がよくなる場合が多いです。

岡田 長谷川先生は女性医師の立場から,リウマチ・膠原病科をどのように捉えていますか。

長谷川 リウマチ・膠原病は内科のなかでは若い女性の患者さんがいちばん多い科です。ですから,結婚や出産など,さまざまな場面で悩む患者さんの気持ちを理解しやすいということはあるかもしれません。また,外来で診る患者さんが多く,夜に呼ばれることはほとんどないので,自分自身に結婚・出産のような機会があっても,キャリアを積んでいくことが可能です。

岡田 アップデートしなければいけない手技も少ないので,多少のブランクがあっても努力次第で復帰もしやすいですね。

長谷川 そうですね。今,女性医師支援の動きが高まっていますが,人材の行き来は同じ診療科間でしかできないので,特に学会主導で子育てをしながら働ける環境をさらに整えていただければと思います。

日本で実現するグローバルスタンダード

岡田 高田先生は,米国留学を経て,現在医学教育に携わっておられますね。

高田 私が米国へ留学したのは,自身が体感した欧米の医師の教育的な姿勢を身に付けたいという思いがあったからです。

 専門医であってもある程度ジェネラリストの側面を持っているべきだと私は考えていますが,日本の卒前教育では臨床推論や鑑別診断のプロセスを教わる機会が少なく,ジェネラリストとして必要な資質を系統的に学ぶ機会が少ないのが実情です。そのような環境を改善することは,いわば文化を変えるようなものですから,1人の医師がジェネラリストとして頑張っても限界があります。多くの医師がそのような資質を習得して実践し,これから育っていく医師の卵にとってのロールモデルとならなくてはなりません。そのために,現在教職に就いています。

岡田 この領域は,診療に当たる際の考え方をきちんと教育できる人材が少しでもいると,全体のレベルアップを図れる分野ですから,期待しています。東京医科歯科大学では,短期研修も受け入れていますね。

高田 はい。今年度は4人の短期研修者を受け入れました。膠原病科は内科でありながらある種非常に専門職的な面があり,実際に患者さんを通して経験しなければ身に付けられない資質がある一方,一般内科研修では触れる機会が少ない疾患がほとんどです。したがって,必ずしも「後期研修」や「リウマチ専門医取得のための研修」という形でなくとも,専門の医療機関で短期間でも実際に膠原病診療を経験することは重要だと考えます。ただ,そういった受け入れが可能な機関は限られていますから,興味のある方はぜひ,気軽にご相談いただけたらと思います。

津田 医学教育における日米の方法論の違いはどのような点にありますか。

岡田 私が米国で臨床経験を積んでよかったと思うのは,最初から一人前扱いされなかったことです。研修医が担当している患者さんの治療方針については,研修医自身が考えた後,指導医にプレゼンして決めることになっています。その都度指導医に間違いを指摘されるので,初めのころは嫌になりますが,2-3年の研修期間中これを繰り返すことによって,患者さんへの説明やデシジョンメーキングなどが効率よく上達します。一方,日本の場合は早いうちに独り立ちするので,自分のやり方がグローバルスタンダードなのかがわかりにくいかもしれません。

津田 日本で米国の教育を取り入れるとしたらどんな方法があるでしょうか。

岡田 私は研修医が外来担当している患者さんに関して,次回どう診断・治療するのかを一緒に予習しています。日本は電子カルテが発達していて,複数の患者さんの情報を一度に簡単に開けるので,患者さんが10人いても,30分もあれば十分です。そうした予習を行った上で,実際の診療でわからないことがあればその都度連絡してもらうような体制をとれば,米国のように研修医と指導医が常にマンツーマンで診療に当たることはできなくても,より充実した研修を行うことができるのではないでしょうか。

さらなる発展に向けて

岡田 最後に,医学生・研修医に向けて今後のアドバイスをいただけますか。

高田 自分の専門分野を選択する際には,ぜひ自分の学問的興味にも耳を傾け,その興味に正直に向き合って検討してほしいと思います。そして常に,"problem based learning"の姿勢,つまり自分が経験した症例1つひとつからできる限りのことを学ぶ姿勢を持ち続けてほしいです。

津田 リウマチ・膠原病科は,毎日新しい発見がある点が魅力だと思います。また,専門医の数が少ないこともあり,患者さんに感謝されることも多いです。非常にやりがいのある科ではないでしょうか。

長谷川 内科医として膠原病が診断できれば,医師としてもレベルアップできると思います。私自身,患者さんのちょっとしたひと言にも耳を傾けて,毎日の診療を大切にしたいと思います。

岡田 なぜ医師になったのか,皆さんそれぞれだと思いますが,多様な面を持つ膠原病科は,それぞれの目標を実現できる要素をたくさん持っている診療科ではないかと思います。私自身とてもやりがいがあり,自分の選択は間違っていなかったと思っています。

 最近の医学の進歩により専門性の高い診療を必要とする患者さんが急激に増加したために,専門医が極端に不足している科です。より多くの若い先生方に専門としてこの分野に入ってきていただきたいと考えています。本日はありがとうございました。

(了)

註1:Quinn MA, et al. Prognostic factors in a large cohort of patients with early undifferentiated inflammatory arthritis after application of a structured management protocol. Arthritis Rheum. 2003 ; 48 (11): 3039-45.
註2:聖路加国際病院で使用している問診表
 http://www.luke.or.jp/guide/dl/medical-questionnaire.html
註3:リウマチ・膠原病メーリングリストへの参加登録をご希望の方は所属とお名前を明記し,下記にメールをお送りください。
 winterrheumatology@gmail.com(事務局)


岡田正人氏
横須賀米海軍病院,自治医大にて研修後,91年米国Beth Israel Medical Centerにて内科臨床研修。94年Yale大病院にてリウマチ膠原病内科,アレルギー臨床免疫科研修。97年仏国American Hospital of Parisにて診療および教育に従事。2006年より現職。米国内科,リウマチ膠原病科,アレルギー・臨床免疫科専門医,日本内科学会総合内科専門医,日本リウマチ学会専門医・指導医,日本アレルギー学会専門医・指導医。

高田和生氏
1994年九大医学部卒。横須賀米海軍病院,亀田総合病院にて研修後,96年米国Beth Israel Medical Centerにて内科臨床研修。99年米国国立衛生研究所(NIH)にて膠原病専門内科研修とループス腎炎および皮膚筋炎の臨床研究に従事。2002年に帰国,東京医歯大膠原病・リウマチ内科にて医学教育に携わる。10年4月より現職。米国リウマチ学会Rheumatology Fellow Awards(02年)受賞。米国内科,リウマチ膠原病科専門医,日本内科学会総合内科専門医,日本リウマチ学会専門医。

津田篤太郎氏
2002年京大医学部卒。同年天理よろづ相談所病院ジュニアレジデント。04年女子医大膠原病リウマチ痛風センター。自治医大さいたま医療センター,女子医大青山病院,都立大塚病院を経て,07年より北里大大学院医療系研究科(東洋医学)に所属。09年より現職。日本リウマチ学会専門医,日本東洋医学会漢方専門医。

長谷川詠子氏
2004年北大医学部卒。同年虎の門病院初期研修医。06年同院後期研修医。09年より同院腎センター内科に勤務。腎センター内科という同院の特徴を生かし,リウマチ・膠原病だけでなく腎疾患診療にも取り組んでいる。