| 看護のアジェンダ | |
| 看護・医療界の“いま”を見つめ直し,読み解き, 未来に向けたアジェンダ(検討課題)を提示します。 | |
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井部俊子 聖路加看護大学学長 |
(前回よりつづく)
日本における看護職の勤務体制は,これまで三交代制が主流であった。それは,1947年に労働者保護を目的として制定された「労働基準法」において,労働者の就労時間を「1日8時間,週48時間まで」と規定したことから,完全看護承認制度(1958年に基準看護制度に改正)において,「看護の勤務形態はなるべく三交代制であること」と明記したことに関係する。
その後,看護体制の見直しが行われた。1992年の診療報酬改定において,基準看護承認要件に「二交代制も差し支えない」の一項が加えられてから,病院における看護職の二交代制導入率は急速に上昇し,1999年には一般病棟の49.2%において実施され,三交代制の48.6%を上回るに至った。
勤務表にはいろいろな記号が用いられるが,基本の形式は,縦軸に当該病棟に勤務する看護職員の名前(この順番をどう並べるかで物議をかもすこともある)と,横軸に日付と曜日が入る。図に雑誌に紹介された日本大学医学部附属病院内科病棟の勤務表1)を示した。説明によると,三交代制勤務は,日勤(8:00-16:00),準夜勤(16:00-23:30),深夜勤(23:30-8:00),休日とめまぐるしく変化し,生活リズムと身体のリズムが一致しないため,慢性的疲労につながりやすい。一方,二交代制勤務では,週1回の夜勤を組み入れても日勤3日間ののち夜勤に入るが,勤務間隔が24時間あるため,睡眠時間が多く取れることや,夜勤前日の夜をゆったりとした気持ちで過ごすなど,ストレスの解消に役立てることができるとしている。私自身も深夜勤に行く前の午後11時頃は寝不足と緊張感のため,ボーイフレンドにやつあたりしていたことを思い出す。

「看護学校を卒業して,看護師の資格を取得した後は,ずっと日勤のポストでC病院で1年間勤務してから,M病院にもどって10年間勤務しています。(中略)昼間の勤務を選ぶというのは家族の事情という理由によるのです。私が(看護助手として*筆者註)夜勤をしていたとき,私は看護師と結婚しましたが,まだ子供はいませんでした。看護師の資格を取得してから,子供ができたので日勤のポストについたのです」
「(前略)実際,10年前,一度,自由開業をやろうとしました。現在は自由開業にはまったく興味がありません。(中略)病院勤務の場合,その日の勤務を終えたら,日勤の場合,午後3時半ですが,それで仕事はきっぱりと終わりです。つまり,自由開業とは違い,夕方,夜は自分の時間になるのです」
他のナースはこのように語っている(79頁)。「現在,ポストについている看護師長たちは,ほとんど全員,若い人たちです。そこで,彼女たちは退職まで長くとどまることになります。ですから,これからカートルの学校を卒業しても,準夜勤か夜勤のポストにしかつけないのです。日勤のポストはないのです。閉塞状態ですよね。私は,今の日勤のポストを失いたくはありません。(後略)」
これらの記述にみられるように,フランスでは,どの病院で何をするかを決めるとともに,勤務帯もひとつの選択肢となっていることがわかる。
どうやら,1人の看護師が1週間の間に,日勤と夜勤をくり返すという勤務形態はわが国独特のものであり,労働科学の研究などからみても「疲労」を蓄積する根源になっている。病院看護師が20代後半になると「疲れて辞める」のは,シフトローテーションによるところが大きい。今や,看護管理者は日勤と夜勤の完全分離制(総合大雄会病院)2)の導入を決断すべきである。
(つづく)