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第2721号 2007年2月26日


医学書院スキルアップセミナー

精神科医療者のための「身体ケア技術」向上セミナー開催される


 2006年11月18日,12月3日,名古屋・東京の両会場において,医学書院スキルアップセミナー“精神科医療者のための「身体ケア技術」向上セミナー”(主催:医学書院,後援:日本精神科看護技術協会,協賛:大塚製薬株式会社)が開催された。

 今回の演者は内科医の長嶺敬彦氏(清和会吉南病院)と,精神科看護師である美濃由紀子氏(国立精神・神経センター精神保健研究所)。最初に長嶺氏が「抗精神病薬によって『身体副作用』を作り出さないために」と題して講演を行った。

「3つの病」を同時に診る視点

 「私は精神病院に勤める内科医です。精神科の治療が問題なく行われるためのサポートが私の仕事です。自分では“何でも内科医”と呼んでいます」

 冒頭にこのように述べた長嶺氏は,続いて精神科医の中井久夫氏の定義を引用しながら,「臨床に存在する3つの病」について解説した。

 3つの病とはFirst illness,Second Sickness,Third Disease。1つ目は統合失調症などによる主観的な苦しみ,2つ目はその病によって受ける社会的ストレス,スティグマなどであり,3つ目は身体合併症ということができる。長嶺氏は精神科におけるThird Diseaseこそが,抗精神病薬による身体副作用であることを強調した。

 「糖尿病や心疾患による死亡率は健常者の5倍」「呼吸器疾患の死亡率は健常者の7倍」など,統合失調症患者の身体的脆弱性はこれまでも指摘されてきた。実際,これらの疾患のリスクファクターとしては肥満,耐糖能異常,喫煙,高脂血症などが挙げられるが,抗精神病薬の内服は,これらのリスクファクターのほとんどを上昇させてしまうことが指摘されている。

 しかし一方で,First illness,Second Sicknessをコントロールしていくためには,抗精神病薬は欠かせない。長嶺氏はこのジレンマを解決する方向性として,抗精神病薬の多剤併用の見直しを提案。精神病薬の副作用を別の薬物で抑え,さらにその副作用を……という連鎖が精神科臨床における多剤併用を生んできたが,長嶺氏はこうした傾向を「改善していくべきもの」と指摘。副作用の少ない第三世代の抗精神病薬への切り替えや,薬剤投与量の見直し,認知行動療法なども用いた包括的な取り組みを模索するべきだと述べた。

 その後,美濃氏が看護の立場から精神科において「身体を診る」ナースになるためのポイントを解説。最後には長嶺氏,美濃氏とともに,会場からの質疑を交えたパネルディスカッションが行われた。

 本セミナーは好評につき,2007年5月12日(土)福岡会場,6月17日(日)大阪会場にて開催予定です。詳細は医学書院ホームページにて近日ご案内いたします。