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[第12回]外科の基本術式を押さえよう――腹腔鏡下虫垂切除術(ラパアッペ)編
外科研修のトリセツ
連載 畑中勇治
2025.04.21

昨日の夜にハル先生が救急外来で診てくれた虫垂炎疑いの患者さん,今から手術です。外来に送ってくれてありがとう!

研修医や専攻医が執刀する機会もある虫垂切除術
急性虫垂炎は,若年者に多くみられる代表的な急性腹症です。10〜30歳代に好発し,男性にやや多い傾向があります。原因は,虫垂内腔の閉塞(糞石,リンパ組織の腫脹,腫瘍など)によることが多く,病態はカタル性→蜂窩織炎性→壊疽性→穿孔性と進行するため,早期診断・早期治療が重要です。
かつては腰椎麻酔や局所麻酔での開腹手術が主流でしたが,現在では術後疼痛の軽減,整容性,腹腔内の広範な観察が可能なことから,腹腔鏡下虫垂切除術が主流となっています。救急外来で診断された虫垂炎の患者さんがそのまま手術となるケースも多く,腹腔鏡下虫垂切除術は研修医や専攻医が執刀する機会もある基本術式です。ここでは,手術の全体像と代表的な手順を紹介します。
腹腔鏡下虫垂切除術の実際
腹腔鏡下虫垂切除術は「虫垂の同定→虫垂間膜と動脈の処理→虫垂根部の切離・摘出→腹腔内洗浄・閉創」の流れで行います。順を追って説明していきます。
手順① 虫垂の同定
通常,臍部+下腹部に計3ポートを挿入します。軽症例では整容性を考慮して単孔式腹腔鏡手術が選択されることもあります。気腹下で右下腹部を丁寧に検索し,虫垂を同定します。虫垂は容易に確認できることもありますが,骨盤内や後腹膜側に癒着している場合は同定に時間を要することがあります。術前CTで虫垂の走行や膿瘍形成の有無を確認しておくことが,術中の戦略決定において非常に重要です。虫垂が同定できたら,虫垂間膜を含めて全体像を把握し,虫垂根部が見えるように周囲を剥離します(図1)。
虫垂:長さ5〜7cm,盲腸の内側末端から発生する突起構造です。
虫垂間膜と虫垂動脈:虫垂間膜内に虫垂動脈が走行しています。動脈は回結腸動脈から分枝。
回盲ひだ:回腸末端と盲腸の接合部にある構造で,虫垂根部を探す際のランドマークになります。
図2 虫垂の解剖
高度炎症例,開腹手術歴ありの症例,肥満症例などは虫垂の同定に難渋することがあります。回腸・盲腸をたどり回盲ひだを確認する,ポート追
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畑中勇治(はたなか・ゆうじ)氏 岐阜大学医学部附属病院消化器外科
2014年岐阜大卒。岐阜県内の医療機関で修練後,24年より岐阜大病院消化器外科で主に食道癌診療と外科教育に従事する。 外科専門医,消化器外科専門医,内視鏡外科技術認定医,食道科認定医など。
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