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取材記事

2025.09.05

 第36回「理学療法ジャーナル」賞贈呈式が2025年4月19日,医学書院本社で開催された。本賞は,前年の1年間に『理学療法ジャーナル』誌に掲載された投稿論文の中から特に優秀な論文を編集委員会が顕彰し,理学療法士の研究活動を奨励するもの。2024年は15編が受賞対象となり,下記論文が準入賞に選ばれた。

【準入賞】喜多一馬,他:理学療法士が経験する患者やその家族・同僚・関連職者の感情から受けるストレス――語りをベースにした質的事例研究(第58巻第8号,原著

 受賞論文は,患者やその家族・同僚・関連職者の感情から受けるストレスの質を質的事例研究で探究することを目的に,「患者やその家族・同僚・関連職者の感情に巻き込まれたり,傷ついたりしたことがあるか」について,19 人の理学療法士(男性13人/女性6人,平均年齢37.1±3.8,平均経験年数13.5±2.9 年)にインタビューを行ったもの。その結果,①対応が困難だと感じる患者の言動や行動からくるストレス,②患者の理不尽さからくるストレス,③患者の病状進行や死に直面することからくるストレス,④後輩(部下)の行動や上司批判からくるストレス,⑤自分より経験のある他職種や経営者との考えの相違からくるストレス,⑥他職種とのミスコミュニケーションからくるストレスの6 つが抽出された。質的研究の強みを生かし,数値化が難しい心情や背景が可視化されたことにより,多くの理学療法士が共感し気づきを得られる内容となっている点が評価を得ての受賞となった。

 論文執筆者を代表して登壇した喜多氏は,「現場では感じているけれども学術の場では明らかにされていない,あるいは受け入れられていないことをいかに伝えていくかを大事にして発信を続けている」と語った上で,本論文の共著者であり,氏のよき理解者である池田耕二氏(奈良学園大学)への謝意を示した。

 『理学療法ジャーナル』誌では本年も,掲載された投稿論文から第37回「理学療法ジャーナル」賞を選定する。詳細は『理学療法ジャーナル』誌投稿規定を参照されたい。

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写真 論文執筆者を代表して登壇した喜多一馬氏。

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