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第15回日本プライマリ・ケア連合学会学術大会開催
取材記事
2024.07.22
第15回日本プライマリ・ケア連合学会学術大会(大会長=浜松医大・井上真智子氏)が6月7~9日,「誰一人取り残さない持続可能なプライマリ・ヘルス・ケアに向けて」をテーマにアクトシティ浜松(浜松市)にて開催された。医学界新聞プラスでは,日本小児科学会とのジョイントプログラム「これからの移行期医療を考える」(座長=名市大・宮崎景氏,トータルファミリーケア北西医院・北西史直氏),およびシンポジウム「家に帰れない人も取り残さない! 療養型病院における総合診療医の役割を考える」(座長=慶大・安藤崇之氏)の模様を報告する。

◆多職種が連携したサステナビリティのある移行支援体制の構築に向けて
「成人移行支援において小児科医が目指してきたこと」と題し,日本小児科学会移行支援委員会の担当理事として登壇した国立成育医療研究センター窪田満氏は,2022年11月に同学会が策定した「小児期発症慢性疾患を有する患者の成人移行支援を推進するための提言」に触れつつ,移行期医療の全体像について説明した。移行期医療においては,小児診療科から成人診療科への診療体制の移行だけでなく,家族中心から患者中心の診療スタイルへの移行,患者のヘルスリテラシーの獲得を目指した自律・自立支援が求められており,適切な医療を切れ目なく提供する必要性を共有した。特に窪田氏が重視するのは,患者のヘルスリテラシーの獲得である。小児期は家族中心の診療スタイルのために,「患者は自身の病名や服用している薬剤名およびその作用などを正確に理解していない場合がある」と指摘し,患者が1枚の紙に自身の病歴をまとめる「マイサマリー」の取り組みを紹介した。また,「患者一人ひとりにとって最も適切な医療は何か,どこで誰が診療を担うべきかを模索し,社会で孤立することなく途切れのない良質な医療を実現していくことが医療者の果たすべき使命」と強調。多職種が連携したサステナビリティのある移行支援体制の構築に向けて,早期からのプライマリ・ケア医の参画を望んだ。
「プライマリ・ケア医は医療の入口であり,ハブでもある」。移行期医療においてプライマリ・ケア医の果たす役割をこう表現したのは,内科,小児科と総合診療科で研鑽し,現在はいちのせファミリークリニックで診療に従事する一ノ瀬英史氏だ。小児科で包括的にケアされていた患者にとって,成人期になっても引き続き包括的に診療をする医師の存在は重要で,「人」を相手にする家庭医療,総合診療が,福祉や就労支援などを含めた幅広い視野・視座から地域と連携するハブになるべきとした。
最後に登壇した蔵重真里氏(ひのでクリニック)は,在宅療養支援診療所に勤めるプライマリ・ケア看護師の立場から,医療的ケア児・者に対する在宅医療の現状について発表を行った。医療的ケア児・者においては,NICU等から直接,あるいは一般病棟を経て退院し在宅移行するケース,成人期以降に両親の高齢化による心身の負担や受け入れ先の不足から在宅移行するケースがあるとした上で,長年受診する医療機関から離れる不安や,状態が変化した際の受診の判断をどう下せばいいのかという戸惑いなど,患者家族が多くの心配を抱えていることを参加者に共有した。また一方で,受け入れ側の医療者が構えてしまうケースも多いのではと指摘。在宅医療などの地域の医療機関が小児期からかかわり成長を共に見守っていくことで,円滑な成人期への移行を実現できるようになるだろうとの考えを示した。

◆療養型病院も総合診療医が活躍するフィールドの一つである
在宅医療が推進されてきた一方,医療依存度が高い場合や患者の社会的事情で最期を療養型病院で過ごす人たちは依然として多く存在する。シンポジウム「家に帰れない人も取り残さない! 療養型病院における総合診療医の役割を考える」では,療養型病院で最期を迎える人々を支える上での地域の総合診療医のこれからの役割が議論された。
患者にとって入院生活は非日常であるものの,療養型病院は日常生活ともなるこ...
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