医学界新聞

2020.03.23



第34回日本がん看護学会開催


 高齢化が進み保健医療職のニーズが高まる一方,少子化によってがん看護を含む看護の担い手が減少する懸念がある。「がんと共によりよく生きるを支援する――がん看護の多様性と深化」をテーマに2月22~23日,第34回日本がん看護学会学術集会(学術集会長=昭和大病院/同東病院・荒川千春氏)が都内で開催された。がん看護に携わる3人の演者が,それぞれ異なるキャリアを紹介したシンポジウム「がん看護に携わる看護職のキャリアデザイン」(座長=昭和大病院/同大・中村綾子氏,同・福宮智子氏)の冒頭,座長の中村氏は「社会を先読みし,働き方や役割の在り方も多様化させていく必要がある」と企画趣旨を語った。

 2005年にがん専門看護師資格を取得し,現在,藤沢湘南台病院で働く林ゑり子氏は,結婚・出産の経験を経てワークライフバランスの重要性を実感したという。育児にも慣れ,「日本の医療や看護に目が向けられるようになった」と語った氏は,臨床の傍ら院内のがん看護専門看護師の教育活動に注力する他,博士後期課程で学び始めたことや,国際学会での発表を続けていることを紹介した。

 大学教員の立場で登壇した角甲純氏(広島大大学院)は,臨床から大学教員に転身したきっかけに自身の研究経験があったと振り返った。エビデンス発信の意義と研究をサポートする側の大切さを知り,「一人でも多くの患者さんや家族に支援が届く社会を築きたい」との思いから,がん看護の担い手を育成する道を選択したと述べた。

 「目標を持つことで,自分のデザインは描ける」。こう強調した看護師経験40年になる大和田眞知子氏は,病院を定年退職した今も,週4日東京都ナースプラザに勤務し,週1~2日はマギーズ東京でボランティア活動に従事する。人生経験が生かされる場ががん看護にはあると述べ,「今やりたいことにチャレンジしてほしい」と呼び掛けた。

3氏の異なるキャリアが紹介されたシンポジウムの模様

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