卒前医学教育で教える医療人類学(第65回医学教育セミナーとワークショップの話題より)
2017.08.21
卒前医学教育で教える医療人類学
第65回医学教育セミナーとワークショップの話題より
2017年3月に医学教育モデル・コア・カリキュラム(以下,コアカリ)が改訂され,各大学医学部は今後,新たなコアカリのもと編成されたカリキュラムで教育を進めることになる。今改訂では「B.社会と医学・医療」の項目に,新たに「臨床実践に行動科学・社会科学の知見を生かすことができるよう,健康・病い・医療に関する文化人類学・社会学(主に医療人類学・医療社会学)の視点・方法・理論について,理解を深める」との狙いが示された。
コアカリに初めて記載された「医療人類学」とはどのような学問で,医学教育でどう扱えばよいのか。第65回医学教育セミナーとワークショップ(7月21~23日,岐阜大)で開催された「症例検討会による行動科学・社会科学の教育:医療人類学の場合」(企画=京大・錦織宏氏,他)では5人の医療人類学者を交え,医師と医療人類学者のコラボレーションの方向性について参加者らと共に議論された。
医療人類学は,生活者にとっての病いをとらえる学問的基盤に
医療人類学とは,文化の多様性やそれらの比較研究を通じて人間の普遍性を探る「文化人類学」の下位区分に当たり,医療の制度や現象を対象とする学問分野である。文化人類学者が異文化を理解し文化の相対化を図る営みは,医師が患者の病いを理解し,その生活世界を患者の視点から相対化する作業と重なる。
医学教育で医療人類学を学ぶ必要性について,コアカリの改訂にかかわった錦織氏は,日本医学教育評価機構による認証評価基準の中に「医療人類学」の文言が盛り込まれた他,「超高齢社会の進展に伴い,医療が社会科学の知見を必要としているため」と語った。
在院日数の短縮化や在宅医療へのシフトにより,患者が暮らす現場を想定し...
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