医学界新聞


制度見直しを踏まえた医学生の対応とは

インタビュー

2009.07.06

【Interview】

田原克志氏(厚労省医政局医事課医師臨床研修推進室長)に聞く
制度見直しを踏まえた医学生の対応とは


――今回の制度改正の趣旨から教えてください。

田原克志氏
田原 臨床研修制度が2004年度から始まって5年経ちましたが,良い点と悪い点,それぞれ指摘がありました。良い点として,研修医の臨床能力が向上した,研修医が非常に意欲的になった,あるいは研修医の処遇が改善した,病院が活性化したというような点が指摘されました。悪い点としては,地域医療への影響,特に医師不足が生じるきっかけになったのではないかという指摘がありました。そして今回,臨床研修の質の向上と,医師不足への対応という観点から,臨床研修制度の見直しを行いました。

研修のゴールは変わらない

――「見直しによって,臨床研修制度の基本理念が達成できなくなるのでは」という声も聞かれます。

田原 今回の見直しは,臨床研修の基本理念――医師としての人格の涵養とプライマリ・ケアの基本的な診療能力の修得――を前提としたものです。また,その基本理念を具体化した臨床研修の到達目標についても堅持しています。今回の弾力化で多様なプログラムが出てくることが予想されますが,2年間で到達目標を達成するという点は変わりませんので,研修の質や研修医の能力は確保されると考えています。

――外科や精神科,産婦人科などが必修から外れましたが,外れたとはいえ,これらに関連する到達目標は,引き続き残るということですね。

田原 到達目標の中には必修項目があり,入院患者を受け持ち症例レポートを提出するA疾患と,外来患者などで経験するB疾患,そして外科症例については1例以上を受け持ち症例レポートを提出することが必修になっています。どの診療科で研修するにしても,これら必修項目については必ず達成できるようなプログラムを,病院に考えていただくことになります。

――ゴールは変わらない,でもその手段に関しては病院の裁量がこれまでより認められるようになったということですね。

田原 そうです。研修プログラムの多様化によって,大学病院や地域の研修病院のプログラムが,従来よりも魅力あるものに変化すると考えています。

――今回,年間入院患者数3000人以上という指定基準が設けられました。しかし,「プライマリ・ケア能力の修得...

この記事はログインすると全文を読むことができます。
医学書院IDをお持ちでない方は医学書院IDを取得(無料)ください。

開く

医学書院IDの登録設定により、
更新通知をメールで受け取れます。

医学界新聞公式SNS

  • Facebook