医学界新聞

取材記事

2023.12.18 週刊医学界新聞(通常号):第3546号より

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写真 大石祐也氏

 第31回総合リハビリテーション賞贈呈式が2023年9月26日,医学書院(東京都文京区)にて行われた。本賞は,『総合リハビリテーション』誌編集顧問の上田敏氏が東大を退官する際(1993年)に金原一郎記念医学医療振興財団へ寄付した基金を原資として発足。2022年発行の同誌に掲載された全22編の投稿論文を対象に,最も優れた論文に賞が贈られた。

◆外出自粛・行動制限が下肢・体幹の応用動作能力を低下させる可能性

 受賞論文は,大石祐也氏(西宮協立デイケアセンターほほえみ/言語聴覚士)他による「COVID-19対策の外出自粛・行動制限期間にみられた通所リハビリテーション事業所利用者のTimed Up & Go Testの延長」[総合リハビリテーション.2022;50(10):1231-7.]である。

 氏らが勤務するデイケアセンターでは3か月ごとにBody Mass Index(BMI),握力,Timed Up & Go Test(TUG),30秒椅子立ち上がりテスト,Barthel Index,6か月ごとにLife Space Assessment(LSA)を計測している。受賞論文ではCOVID-19拡大前後の2019年7月~21年6月の期間,継続して通所していた利用者69人を対象に,①19年7月,②20年4月(初回緊急事態宣言発出直前),③21年6月(第3回緊急事態宣言解除後)の3時点の計測値を用いて解析が行われた。結果,町外への活動を反映するLSA 5の値が緊急事態宣言発出による行動制限で統計的有意に減少するだけでなく,下肢・体幹の応用動作を反映するTUGの値も行動制限により統計的有意な延長がみられた。これらの結果から,COVID-19対策の外出自粛・行動制限による下肢・体幹の応用動作能力の低下が示唆された。

 『総合リハビリテーション』誌編集委員を代表して高岡徹氏(横浜市総合リハビリ テーションセンター)は,「本研究は,COVID-19との3年以上にわたる“闘い”と言っても良い状況の中で行われた,まさに時宜にかなったものである。さらに前例のない外出制限・行動制限が実施されたなかで,高齢・障害者の機能は低下していないのかという,われわれリハビリテーション専門職の素朴な,かつ切実な疑問を明らかにした研究である」と講評した。受賞のあいさつで大石氏は,本研究にかかわった職場の同僚や共著者,同誌編集委員に感謝の言葉を述べ,「これからも本賞に恥じぬよう,臨床的なデータをしっかり見ながら利用者,患者とかかわり,西宮から日本に発信していきたい」と決意を語った。

 『総合リハビリテーション』誌では2023年にも,同年に掲載された投稿論文から第32回総合リハビリテーション賞を選定する。同賞の詳細については同誌投稿規定を参照されたい。


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