医学界新聞

取材記事

2023.01.23 週刊医学界新聞(看護号):第3502号より

 第42回日本看護科学学会学術集会が,2022年12月3~4日に広島国際会議場,他(広島市)にて,森山美知子会長(広大大学院)のもと開催された。「ケアサイエンスの構築に向けて――看護科学の深化と発展」がテーマに掲げられ,現地・オンラインのハイブリッド形式で全国から参加した看護師,教員らが活発な議論を交わした。

 開会挨拶に立った森山氏は,当集会が4つの狙いをもって構成されていると話す。①日本学術会議が進めるケアサイエンスの構築,②COVID-19パンデミックであらわになった日本の看護教育の弱点克服,③国際社会における日本の世界への貢献,技術開発のための国際共同研究,④プライマリ・ケアとポピュレーション・ヘルス・マネジメント,高度看護実践の推進だ。中でも氏が重視する④については,翌日行われた会長講演の中で「疾病構造・年齢構造の変化に対応した新たな医療サービス提供システムの構築が急務」だと指摘し,病院に勤めるスペシャリスト中心の医療からプライマリ・ケアへの移行の必要性を訴えた。

◆看護師だからこそ果たせる役割

 日本看護科学学会,日本プライマリ・ケア連合学会共同企画シンポジウム「プライマリ・ケアへのシフト――高度実践看護師等との協働」(座長=神戸市看護大・水川真理子氏,生協浮間診療所・後藤智美氏)では,今後医療の中心をプライマリ・ケアへ移行させるに当たって,診療所における看護の質の底上げを高度実践看護師がリードする術が模索された。

 初めに登壇したのは,広島大の加古まゆみ氏だ。オーストラリア,カナダ,イギリス,スペインといったプライマリ・ケアを医療の基盤に据える諸外国において...

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