医学界新聞

書評

2022.04.25 週刊医学界新聞(看護号):第3467号より

  • 慢性疾患セルフマネジメントの手引き

    患者をエンパワーする 慢性疾患セルフマネジメントの手引き

    • 孫 大輔 監訳
    • B5変型・頁416
      定価:5,940円(本体5,400円+税10%) MEDSi
      https://www.medsi.co.jp

《評者》 獨協医大教授・総合診療医学/獨協医大病院総合診療科

 本書は画期的な本である―と書かれた孫大輔先生の序文通り,画期的だと思います。どのような点が画期的なのか? 慢性疾患のセルフマネジメント(1章)という総論を起点に,慢性疾患(関節炎,心臓病,糖尿病,喘息などの身体的,精神的な状態)を持つ方が一日一日をどのように豊かに生きていくか,ということを多面的なアプローチでアドバイスするという,およそこれまでに見たことがない類いの書籍です。

 治療方針と服薬(13章),食事(10章),体を動かす(7章)こと,家族や医療者とのコミュニケーション(11章),セックス(12章)などの日常的なことにも言及しているだけでなく,生活を楽にするエクササイズ(8章),併存しやすい症状や伴いやすい感情のマネジメント(5章),また慢性疾患を持ちながらどのように社会の中で生活していくか(15章)という痒いところに手が届く内容,そして,将来~終末期にかけてのマネジメント(16章)という,慢性疾患において重要な時間経過の視点にも光が当たっているという包括的な内容になっています。

 個人的には8章の,場合により万人にも適応となる生活の質を上げるエクササイズがわかりやすくて気に入っているのと,総合診療的視点に満ち,慢性疾患・病態を持つ人をケアする医療者には必読ではないかと思われる内容の16章を特にクローズアップしたいと思いますが,それ以外の章も,すべからく質の高い,それでいて明日からすぐに役立つわかりやすい内容です。

 著者はStanford大学名誉教授のKate Lorig先生(Health Educationで博士号)をはじめとした健康教育の専門家たちで構成され,それぞれの先生方の現場での視点が十二分に活きた内容となっている印象です(先生方のYouTubeなども見られるようです)。訳者は,評者が知る限り総合診療でご高名な谷口晋一教授,東洋医学・鍼灸の教育者として数多くの後進を育てられている成田響太先生をはじめ,多彩な背景の先生方から構成されていることからも本書のmultifacetedな視点が想像できます。訳本である...

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