医学界新聞

2020.12.14



鈴木大介氏『「脳コワさん」支援ガイド』が第9回日本医学ジャーナリスト協会賞受賞


写真 鈴木大介氏

 鈴木大介氏の『「脳コワさん」支援ガイド』(医学書院)が第9回日本医学ジャーナリスト協会賞の大賞を受賞し,贈呈式が11月26日,日本記者クラブ(東京都千代田区)にて開催された。同賞は質の高い医学・医療ジャーナリズムを日本に根付かせることを目的に創設され,「オリジナリティ」「社会へのインパクト」「科学性」「表現力」を選考基準に,大賞・優秀賞・満美子賞を贈り,顕彰する。

 社会派ライターの著者は,41歳の時に右脳に発症した脳梗塞により,高次脳機能障害を抱えることになった。本書は,脳梗塞発症後からの著者自身の障害認識を言語化したもの。同協会が発表した受賞理由では,病名ではなく困りごとに着目することで援助職と当事者とが協力して問題解決する道筋を提案していると,支える側と支えられる側との相互理解を深めた点が評価された。

 受賞のあいさつに立った氏は,「自分と同じ障害を抱える方々の中には,脳卒中などの既往歴があるにもかかわらず未診断の方や長年支援がないまま苦しむ方,その結果うつ病などの二次障害を発症し社会的孤立する方が多くいる。このような脳機能障害全般の当事者の苦しさ,すなわち『見えない障害』を代弁したいと思った」と執筆に至る経緯を語った。さらに氏は,「当事者でなければ発信できないエビデンスがあると思う。医療者の方には当事者の声を『まともな話』として受け取ってもらいたい」と,医学と当事者学との連携の重要性を訴えた。

開く

医学書院IDの登録設定により、
更新通知をメールで受け取れます。

医学界新聞公式SNS

  • Facebook