医学界新聞

寄稿

2019.10.28



【視点】

働く場を移動する看護職の採用とキャリア形成支援のつながり

草柳 かほる(東邦大学看護学部基礎看護学研究室 講師)


 看護職は専門職であるがゆえに,一般職に比べれば働く場を移動すること(労働移動)は容易で,一見して新しい職場でもこれまでの経験や能力をそのまま発揮できるように思える。

 しかし実際には,さまざまな境界(壁)に阻まれ,自身の能力を発揮できないまま,早期に再び離職してしまう看護職も多く,労働移動してきた看護職のキャリア形成,また彼らに適した能力開発の方法を見つけ出すことは,人材確保,ひいては安全で安心な医療提供を行うためにも不可欠である。こうした課題への取り組みは各施設で試行錯誤の段階にあるのが現状だ。

 そのため私は,2017年より労働移動する看護職(特に既卒者,中途採用者)の能力を見極め,その力を伸ばせるような支援を探索する科研費調査「働く場を移動した看護職の臨床実践能力再開発支援プログラムの構築にむけて」を進めてきた。2018年には,「働く場を移動した看護職への組織的なキャリア開発支援の実態の解明」と題し,大小10病院に対して既卒者(中途採用者)の採用窓口となる看護部長および人事採用担当者と,採用後のキャリア支援を

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